FF16って、結局どうなの?
昨今、スクウェアエニックスからリリースされる各種IPに関して、発売直後に否定的なレビューがずらりと並び、それに呼応するかの如く中古価格のジェットコースター並みの勢いで急降下する事例が散見されます。
そんな状況にあって、前作の不評が次回作の不評を生むという「負のスパイラル」に陥ってるように感じます。
そのため、仕事の合間にポチポチプレイして、ようやく全クリアしたFF16について、
ネタバレあり
忖度なし
でガチ本音レビュー(感想)を書いていきます。
本作を未プレイの方は、ネタバレ無しで評価・感想が書かれた以下の記事をご覧ください。
本作の評価
ボリューム | ★★★☆☆ |
ストーリー | ★★★★☆ |
グラフィック | ★★★★★ |
音楽 | ★★★☆☆ |
操作性 | ★★★★☆ |
難易度 | ★★★☆☆ |
総合評価 | A-(90点) |
前回の記事でご紹介した通り、本作の総合的な評価は「A-(90点)」を付しています。
この評価については、本作を「ファイナルファンタジーシリーズの続編」として判断せず、「単体のゲームソフト」としてみた場合、間違いなく「良ゲー以上」の評価が適当だと感じたためです。
一方で、往年のFFシリーズをプレイしてきた古参らにすれば、「コマンドバトル」「幅広い戦略性」「奥行きのあるストーリー」といった要素が薄いと感じるかもしれません。
そのため、「(プレイヤーお気に入りの)過去作」と比べて【駄作】【クソゲー】【ムービーゲー】」などと揶揄されてしまうのはシリーズものあるあるといったところでしょうか。
トータルで見ると「ストーリーゲームとしては優秀」だと言えます。
アクションゲームとしての完成度
もちろん、映像部分だけでなく、アクション部分の作り込みもしっかりしています。
しかし、アクションフォーカスでプレイしても、やや易しめの難易度であるため、「戦闘に対するドキドキ・ワクワク感は希薄」と言えます。
攻撃の種類や防御・パリィなどの種類とか、そういう問題ではなく、
「避けてボタン連打してたら勝ってた」
という少し拍子抜けという印象でした。
がっつりアクションRPGとして楽しみたいなら、Bloodborne、ダークソウルシリーズやエルデンリングといった「本家死にゲー」をプレイした方が早いでしょう。
最近では、映画化も噂されているBloodborneに似たプレイ感の「Lies of P」もありますね。プレイ感が似すぎていて「Bloodborne2」と言われることも。
とはいえ、スキルとスキルの繋ぎはスムーズで、想定通りのコンボが決まると気持ち良さを実感できます。
コマンドバトルからアクションバトルへシフトする上で、デビルメイクライシリーズのような軽めの爽快アクションの方向へ落ち着いた印象です。
戦略性・育成要素について
主な育成要素としては、「召喚獣アビリティの解放と組み合わせ」です。
レベル上げの必要性は低く、通常通りストーリーを進めていき、合間でリスキーモブを倒せばストーリー攻略には困らないくらいのレベルになります。
レベルが上がることによるパラメータ選択などは無く、あくまでもAP(アビリティポイント)を稼いで召喚獣スキルを解放していき、好みのスキルを付け替えるのが主たる育成要素です。
FF3やFF5にあった「ジョブシステム」はここ数作の中で無かったものとされ、概ねキャラクター固有のスキル(ジョブ)を元に育成させる形式です。
それはそれで楽しめますが、結局のところコスパ重視の召喚獣・アビリティの組み合わせに終始してしまい、「最強召喚獣と最強アビリティ探し」が戦闘面での最重要事項となります。
良く言えば、迷わず強化できる。
悪く言えば、浅い。
ゲームをプレイする上で、「何を重視するか」によって、この辺りの評価は人により異なってくるでしょう。
世界観と時代の潮流
また、時折差し込まれる「大人の世界」のついては賛否が分かれるところかと思いました。
フォトリアルを追求するほど、人間味を出すために「色恋模様」を前面に押し出していく必要があるのでしょうか。
プレイヤーの好みと合致すれば、かなり楽しむことができる反面、好みに合わない場合はプレイを止めてしまうきっかけにもなり得ます。
この辺りは、ウィッチャー3のようなダークファンタジーの雰囲気を参考にしたのかもしれません。
アナベラの真意
アナベラの不人気っぷりは驚くべくもありませんが、想像以上に嫌われているのには少々興味が湧きました。
特に「実母」であるにも関わらず、あそこまで大々的にクライヴを嫌い、ジョシュアを見捨てることができるのは、確かに気持ちのいいものではありません。
一部の意見では、アナベラが継母ならこの仕打ちも納得というコメントを見て、本作における実子への対応としては一般的な感覚からは乖離していることが窺えます。
ただ、アナベラが「プライドが高い超完璧主義者」であることを前提をした時、本作における母と子の愛憎劇により一層の深みをもたらすと言えます。
アナベラの視点では
「フェニックスのドミナントではないクライヴ」
「フェニックスのドミナントだが病弱なジョシュア」
は、いずれも【不完全な存在】と感じていたのでしょう。
その不完全な存在は「完璧で高貴な血筋である自身には相応しくない」ため、今いるロザリア公国を売国し、ザンブレク皇国にて新たに「完璧な存在」を産むことを決意したとすると、アナベラの行動にも一貫性が見えてくるはずです。
本作における時代背景が戦時中ということも勘案すると、実の母親と言っても裏切りがあっても不思議とは言えないかもしれません。
それでもなお、自身の嫡男であるクライヴにトドメを指す瞬間、彼を生かす指示をしたのは微かに残っていた母親としての愛情だったのでしょうか。
各キャラクターについて
本作には濃いキャラクターが多数登場します。
特に、各召喚獣のドミナントたちについては、かなり奥行きを感じるほど、人間味あふれる言動で楽しませてくれます。
彼らのおかげで、本作FF16をプレイしている間、本編ストーリーにとても惹き込まれていきました。
ジョシュア
かわいそう枠。
幼少期から青年期まで苦労が絶えない壮絶な人生を歩むこととなったフェニックスのドミナント。
ラストの展開は、ある意味予定調和ではあるもの、やっぱり救いはあって然るべきだと思います。
でも割と道中に一緒に旅することができたのは、本作をプレイしていてせめてもの安心ポイントでした。
ラストの【《ファイナルファンタジー》著者:ジョシュア・ロズフィールド】となっているのは、
- 最終バトルから無事生還したクライヴが本著を執筆した説
- 不死鳥教団がジョシュアの名で執筆した説
- 完全生命魔法レイズで復活したジョシュアが執筆した説
等々、様々な考察の可能性が浮上します。
現時点では公式から明確にエンディングの解釈について名言されていないため、ここから先は考察班に任せたいと思います。
トルガル
メインヒロイン。
間違いなく、本作主人公クライヴの正妻と言って差し支えない存在です。
良くわからないタイミングで、良くわからない変身をしたのだけはなんとも不思議でした。
なお、アレ以来変身する機会がないまま、物語は終わりを迎えてしまいました。
シドとミド
シドとミドについては、FF5・FF6を彷彿とさせるオマージュの意図が含まれているように感じました。
(シド=雷神(剣聖)の異名を含めると、FFTも含まれてそう)
ラムウの出番はほとんどなく、その姿をお披露目する機会が非常に少なかったことは悔やまれます。
ジル
お付きの人。
クライヴの幼少期から、周囲でうろちょろする年季声のお姉さん。
一応、シヴァのドミナントで、本作中何度も変身しては窮地を救ってくれ…くれ…た???(てない)
見た目・立ち位置・言動を見るに、一見メインヒロインかのように振る舞っています。
ただ、どうしても「声」と「抑揚」が…
なんだかこの感じ、とても何かに似ている気がして、思いを巡らしたところ「ハウルの動く城」に登場する「ソフィ」に似た違和感と近しいことがわかりました。
メインヒロインを謳うには、少々声に年季が入りすぎていたのが残念でなりません。
ディオン
ポリコレ(LGBTQ)枠。
ただ、ディオンは気持ちが良いほど晴れやかな性格であるためか、一切違和感らしい違和感を感じることはありませんでした。
むしろ、「殿(しんがり)は任せろ」と自ら率先して戦いの最前線へと駆け寄る聖人っぷり。
多分、本作における最強の聖人は彼、ディオン。
普段はザンブレク皇国のドミナントとして気丈に振る舞い、恋仲である側近テランスにはその反動として弱みを見せることができていたのかもしれません。
最近話題の「性別の垣根を越えた恋愛事情」に相当するキャラクターの中でも、割と一般ウケが良いようですが、その理由として考えられるのは以下の通り。
- 主人公キャラではないこと
- 嫌味な面がないこと
- イケメンであること
- 主人公に協力する立ち位置であること
- 本筋で(一応)主人公の異性愛を描いていること
上記の要因が、挙げられます。
ディオンのように性的嗜好が同性であるキャラクターで、プレイヤーからの人気が高いのは、ドラゴンクエスト11の「シルビア」さんですね。
どこぞの洋ゲーのように「主人公」を無理やりポリコレ枠として設定するのではなく、ごく自然と「あぁ、そうなの?」くらいの位置付けで表現するくらいがちょうど良いのだろうと思います。
ベネディクタ
いわゆる「姉御」。
結構好き。
このくらい尖った性格のキャラクターの方が、プレイしていて感情移入しやすい気がします。
ちなみに、一応ガルーダのドミナント。
でも、ガルーダというより、昆虫的な何かを彷彿させる見た目な気もします。
フーゴ
THE 噛ませ犬。
どうしてもこの立ち位置の敵キャラって、「噛ませ犬」的な存在になりがちです。
実際、ベネディクタ戦からバルナバス戦までの繋ぎ役となり、見事なまでの「噛ませ犬」っぷりを発揮してくれました。
最終的には「デビルタイタン」として覚醒し、対フーゴ戦のラストで有終の美を飾っています。
あと、全体的にボーズが同じ。
バルナバス
マザコン。
いや、愛の形は人それぞれで良いと思います。
むしろ、愛の形が複雑化するほど深い人間味を感じ…
いや、マザコン。
そんなこんなでも、彼はオーディンのドミナント。
ことあるごとにクライヴの前に立ちはだかっては、その進行を邪魔したり、手伝ったり、邪魔したりします。
出番は多いはずなので、印象は薄い。そんな存在。
ラスボス関連がくどい
ラスボス・アルテマ関連の話がくどい印象でした。
最序盤から、クライヴの前に現れてはお小言を言って去っていきます。
このお小言は最終的にアルテマの壮大な計画へとつながる伏線であり、描かれ方としてはとても丁寧で多くのプレイヤーにとって分かりやすい演出だと感じます。
ただ、、、
くどい
ストーリーの本筋ではあるものの、「ミュトス」「ミュトス」ってうるさい。
見た目とかも「イカニモ悪者」感が強すぎて、逆にワクワクできませんでした。
いっそ、FF10のユウナレスカやFF8の魔女イデア・魔女アルティミシアのような妖艶な風貌が良かったかと思います
まとめ
そんなこんなで、40時間ほどプレイし、全クリアした時点で感じたことを思うままに書かせていただきました。
プレイヤーの数だけ、本作への感想も多種多様かと思います。
1987年12月18日に発売された「ファイナルファンタジー」から36年もの歳月が経ち、ようやくプレイすることができたFFシリーズ最新作「Final Fantasy ⅩⅥ」。
1作ごとに特徴的な戦闘システム・育成システムを取り入れ、進化を続けてきた結果、「ややカジュアルなアクションゲーム」へと変化を遂げることとなりました。
ドットゲーム時代は、映像・グラフィックのクオリティは低い一方で、その世界はとても広大でした。
そして、今では映像・グラフィックのクオリティは最高峰である一方で、その世界はやや狭くなりました。
「解像度が高くなるほど世界はミクロになり、解像度が低いほど世界はマクロになる。」
それでも、次回作を楽しみにしたいと思います。