ゴッド・オブ・ウォーをクリアしました。プレイ時間は約20時間ほどで、メインクエストだけを突っ走りました。
サブクエストもプレイしたら40〜50時間ほどになるかと思いますが、「プレイ感がやや単調であること」と「探索・発見の魅力が薄めであること」から、メインクエストクリアで、僕の中では「ゴッド・オブ・ウォー」を完全クリアとしました。
評価
ストーリー ★★★★★
グラフィック ★★★★★
音楽 ★★☆☆☆
操作性 ★★★☆☆
難易度 ★★★☆☆
ソウルライク寄りに舵を切った今作。歴代ゴッド・オブ・ウォーシリーズと比べると、敵が硬い上に、一撃のダメージが大きめなため、難易度面は少々高めに感じました。
難易度をイージーにすると、敵キャラがだいぶ柔らかくなるので、忙しい社会人やアクションゲーム初心者はイージーモードも併用してプレイすることをおすすめします。ノーマルモードとの違いは敵の硬さくらいなので、メインストーリーには一切影響を及ぼしません。
一方で、ロードを巧妙に隠しているため、没入感を削がれることなくプレイし続けることができる設計は、ゲームをプレイしているという感覚を忘れそうになる程の体験を与えてくれます。
ムービー時のカメラワークや、キャラクター・オブジェクト類の作り込みも非常に丁寧で、「映画をプレイして遊んでる」と言った方が早い程。確かに、PS4史に残る傑作と声高に叫ばれるのも納得です。
ただし、戦闘はもっさり・単調、かつ敵の種類が少ない上に、ボスも使い回しが8割ほどを占めていたのがマイナス面。洋ゲー特有の「グラフィックは超美麗!」「だけど、アクション面は今ひとつ!!」を抜け出すことができなかった点がとても惜しいと感じられます。
これは「父と子の物語」
ゼウスの息子であるクレイトスが、亡き奥さんとの間にもうけたアトレウスと旅に出るところから始まる今作。アトレウスはまだまだヤンチャ盛りで、父の教えを聞かなくなる事態に陥ることもしばしば。
それでもクレイトスはアトレウスに「生き方」を教え、「矜持」を伝え、最後には隠してきた「真実」を口にします。
父から子へ、生き方や考え方、戦い方だけでなく、心の在り方などを伝えていく姿を見ていると、心が洗われるようです。
アトレウスの葛藤と成長
アトレウスは、旅を通して彼自身の出自を知りたがります。父上(クレイトス)に事あるごとに質問をしますが、はぐらかされ、イライラを募らせていくことも。
物語終盤になって、クレイトスはアトレウスに彼の出自を伝えることとなりますが、それによってアトレウスは今まで以上に無茶をするようになってしまいます。
男の子が大人の男に成長する過程で起こりがちな「父親への反発」と「精神的な成長」。物語を通して、アトレウスの心の変化を感じることができ、不思議な気持ちになりました。
母から受け継いだ形見のナイフを、父のピンチを救うために犠牲とする決断など、見どころ溢れる胸熱シーンが多数盛り込まれていて、和ゲーとはまた違った楽しさを見出すことができます。
あと、□ボタンでアトレウスの射撃を発動することができるのですが、これがまた便利で多用していました。敵の注意を背ける効果や、痺れ等による一定時間の行動不能を引き起こせる便利性能。息子、優秀。
母の遺灰と2人の旅路
ストーリー自体はかなりシンプル。
「亡き母の遺灰を、この世界で最も高い山の上で撒く」という明確な目的。当然、簡単には目的を達成できないよう、バルドルという不死の神がクレイトスとアトレウスの後を追いかけてきます。
バルドルの追跡を掻い潜り、世界中を旅して周り、最後には巨人族の世界「ヨトゥンヘイム」にある山脈の頂上へと辿り着く。
そこでようやく、クレイトスはアトレウスに彼自身の本当の出自を露わにします。
人であり、神であり、巨人でもあるアトレウスは、母フェイが名付けようとしていた名が「ロキ」であることをクレイトスに言い渡される。
旅の終着地点で、アトレウス(=ロキ)は神である自分自身を受け入れようと必死に思考を巡らせながらヨトゥンヘイムの山頂で、父クレイトスと共に母フェイの遺灰を撒くのです。
厳格な父と、好奇心旺盛な男の子
クレイトスの教え方はお世辞に言っても「上手」とは程遠いものがありました。口数が少なく、失敗に厳しく、説明不足でアトレウスを頭ごなしに叱りつける。
一方で、アトレウスも子どもならではの好奇心から、旅先で出会う新鮮な景色や見知らぬ物に興味を示しては、あちこち寄り道をしてしまう普通の男の子っぽさが全面に溢れ出る。
父と子、旅路を通して、交わり・すれ違いながら互いを認め合う彼らの姿に心を動かされるプレイヤーも多いはず。「体験できる映画」として、イージーモードでサクサクとメインクエストだけに集中してプレイしていくものストレスのかからない遊び方としてオススメできますよ。
古代ギリシャ神話を主軸としてストーリーが展開されていくため、ある程度ギリシャ神話の基礎知識があるとのめり込みやすいのでしょうが、そうでなくとも巨大な蛇(ヨルムンガルド)や巨人との邂逅など、ゲームプレイを通して未知の体験ができて前へ進むたびワクワクが止まらなくなっていきました。
神同士の戦いと復讐の連鎖
豊穣の神フレイヤを始めとして、複数の神々と出会い、助けられたり戦ったりと様々な経験を積んでいきます。
ストーリー後半の出来事は、プレイヤーの介入によって変えることができないものであるため、ショックを受ける可能性もありますが、それもまた神々の世界では良くあることなのかもしれないと思うことで、ある程度受け入れるようにしました。
誰かを傷つけようとすれば、誰かから恨まれて復讐を受けることとなります。復讐の連鎖をどこかで断ち切らなければ、延々と次の世代が憎み合い・奪い合うことを繰り返していくため、クレイトスは覚悟を背負って大きな決断をします。
この決断が、良かったのか、悪かったのかは実際にプレイして実感してみてください。
旅の終点
長かった2人の旅路は、ヨトゥンヘイムの山頂に辿り着くと同時に終焉を迎えます。ミーミルの左目を取り戻し、閉ざされた扉を開くと、そこには巨大な壁画が壁一面に描かれていました。
神話の時代に起きた出来事とともに、今まさに旅路を終えた2人の物語まで壁画に描かれている謎に疑問を抱きながら、母フェイの願い通り、遺灰を山頂から撒くことに。
後ろ姿だけで、2人のたくましい勇姿を感じることができます。
こうして、長い長い時間を過ごしてきた2人とお別れとなりました。
ずっと大切にクレイトスが持っていた母フェイの遺灰を、直前で息子アトレウス(ロキ)に託し、2人で同時に遺灰を撒いていきます。とても厳しく、とても優しく、とても切ないこの物語は、PS4でもPS5でもプレイできます。
間違いなく、PS4ゲーム史に残る最高傑作の一つと言えますので、次にプレイするゲームに悩んでいる方は、試しにプレイしてみてください。ちなみに、PS5を所有している場合は、Playstation Plus会員なら無料でプレイ可能です。
※そうでなくてもだいぶ安く買えますので、試しに買っておいても良いクオリティです。