今ではリリースされたゲームにバグや問題点があれば、アップデートをすることで改善することができるようになりました。
それに伴い、ゲーム内のコンテンツも「DLC」という販売方法が確立し、今では当たり前のようにDLCがゲーム市場に馴染んできたようです。
一方で、DLCの位置付けについてはゲーム会社によって異なる視点を持っているようなので、僕らユーザーがゲーム会社の悪い販売戦略に乗らないように、DLCの本来の在り方についてまとめていきます。
DLCの4タイプ
ここで言うゲームは、スマホなどの基本プレイ無料ゲームなどではなく、フルプライスのパッケージゲームを想定しています。
機能制限型
本来は使用可能なキャラクターや行けるはずのエリアなどをプレイヤーに気づかれないよう制限しておくタイプのDLC。または開発期間が足りず、見切り発車で販売開始した後にツギハギするパターン。
この手のタイプが特に厄介で、プレイアブルキャラクターや開発・導入済みのエリア解禁に追加料金を払わせようとするフルプライスで購入したコンシューマーにとって最悪の手法。ツギハギパターンの場合は、本来フルパッケージに含めるコンテンツを後から追加料金で購入させようという残念な販売方法。
「お金払ったらアンロック解放するよー」
「お金払ったら本編に入れる予定だったキャラ使えるよー」
どちらにしても「販売時点で完成品のゲームソフト」としては間違っています。完全に「未完成品」です。
【悪い例】
ONE PIECE WORLD SEEKER
ジャンプオールスターバトル
ジョジョASB
【良い例】
大乱闘スマッシュブラザーズSP
本編補充型
メインストーリーで語られなかったエピソードを補完したり、別のキャラクター視点で描かれたりするタイプのDLC。大きなエリア追加などが中心では無く、既存マップ内でのエピソード追加などが中心。
基本的にはややプラス目線の追加要素である一方、「本来開発時点で含める予定だった内容を後からDLCとして販売する」といったダメな売り方をするパターンもある点に注意が必要。
「ステージ自体は本編のものだけど、エピソード増やしたよー」というゼルダBOTWに比べ、「開発期間足りなくて本編に入れられなかったエピソード切り売りするよー」というFF15の残念さ。
足りないのは開発期間というより、開発ロードマップとそれに向けた早期のストーリー設計ではないかと。
【悪い例】
FF15
【良い例】
ゼルダBOTW
ドラゴンクエストビルダーズ2
本編拡張型
本編には無かったエリア新設や多数の追加要素により遊びの質と量を上手く向上させてくれる最も理想的なDLCのタイプ。
新エリア、新ステージ、準新作レベルのボリュームあるエピソード。こうした内容を製作するゲーム会社はコンシューマーが求めるDLCを理解しているように感じられますし、根強いファン獲得にも繋がるのでしょう。
「本編がっつり作り込んだけど、更にエリアマップ拡大して、ストーリーラインも増やしたよー」
これが本来あるべき姿ではないでしょうか。こうした姿勢でDLCを制作しているゲーム会社はユーザーの気持ちを理解しているのだと思います。
【悪い例】
特に無し
※出来の良し悪しではなく、姿勢の良し悪しで考えると特に悪い例は無し
【良い例】
ウィッチャー3
ホライゾンゼロドーン
ゼノブレイド2
スプラトゥーン2
TESⅤ スカイリム
MHWアイスボーン
おまけ要素型
主にコスチュームやBGM追加、冒険者パックなどのストーリー進行上支障を来さない範囲のDLC。
広い意味でおまけ要素である分、コンシューマーのファンレベルによって購入するかしないか選択の幅があり、「買わなくても問題ない」と「このキャラにこのコスチュームを着せて冒険したい」が共存することができるため無害寄りの販売方法。
この手のDLCは完全に好みの領域なので、欲しいと思った人だけ買えばOKです。
求められる映像クオリティと開発期間
フォトリアル路線のAAAタイトルのゲームソフトがPS4に多数投入されている昨今。3Dモデルでのゲーム製作はSFCやPS時代と比べて大幅に労力がかかるようになっているそうです。
そうした中、インディーズではなく企業としてゲーム制作・販売を担っている以上、売り上げや納期が最優先事項であることは理解できます。一方で、1人のゲームプレイヤーとして考えると、無理やりリリースした「未完成ゲーム」をプレイさせられた挙句、「本来追加しておくべきコンテンツを別途購入」というのは納得が行かないのが本音です。
パッケージ型ゲームとスマホ型ゲームの違い
パッケージ型ゲームは基本的にフルプライスで購入するため、1本のソフトで物語が完結していることが求められます。スマホ型ゲームは仕様変更やガチャ用の新キャラ追加のため都度アップデートがかかるのは仕方ないでしょう。
それぞれがそれぞれの期待と役割を担っているため、「ソシャゲみたいに儲けたいからストーリーをDLCとして切り売りしよう」とか「本来プレイアブルキャラ・プレイアブルエリアだけど、追加料金で解放しよう」といった採算だけ重視したDLCが無いとは言えません。
そして、こうした悪い例のDLC販売を行なっているゲーム制作会社にお金を支払ってしまうと、「ほら!やっぱりDLCで切り売りした方が儲かるぞ!もっとやろう」という余計な勘違いを生んでしまう可能性が生じます。
「作品やシリーズのファン」であることを逆手に取り、「このキャラ使いたいなら金払え」「この話見たいなら金払え」といった姿勢で未完成品のゲームソフトを補完(補修)するようなDLCを販売しているとユーザーの反感を買い、いずれはブランドも地に堕ちるでしょう。
まとめ
重要なのは、「発売時点でそのゲーム自体がDLC無しで十分完結している」かどうかです。
結局、「未完成品」を売りつけた後に「省いた本編部分を補充するからお金払ってね!」という間違った論理をユーザーが許してしまうと、そうした販売方法がゲーム会社にとってのスタンダードになりかねません。
あくまでもコンシューマー向けゲームは、店頭に並んだ1本で完結することが重要なのです。