最近の小・中学生は将来YouTuberになりたいって言っている子が増えているそうです。
会社への就職が一般的という「常識」の枠組みを外し、新しい職業や生き方が広がって行くことは素晴らしい変化でしょう。
、、、が!!
「YouTuberになりたい!」なんて簡単に言えるほど、甘い仕事では無いってことは早めに知っておきましょう。
動画を撮るだけなら誰でもできる
多くの人は「動画を撮ってアップするだけで人気YouTuberになれる」なんて夢物語を妄想しているようです。
スマホは誰しもが持っていて、写真も動画も身近なものとなりました。
そのため「動画を撮るだけ」なら誰にでもできます。
スマホのカメラアプリを起動して、動画モードで被写体を撮影すれば良いんですからね。
問題の本質はその先にあるものです。
問題の本質は「編集」する技術と実行力
撮った動画はどうしますか?
まさかそのままアップロードして人気になれるなんて浅はかな考えでは無いでしょう。
ユーザーが見やすく、楽しめるコンテンツとするために次のような編集が必要になります。
・動画の不要な部分をカット
・動画同士の前後関係を整理してペースト
・タイトルやテロップの作成と追加
・ナレーションの有無選択と録音
・自身のブランドロゴ準備と貼り付け
・BGM準備と調整
上に挙げた以外にも細かい素材や編集作業が大量にあります。
「全部できるよー」「もう動画編集なんて得意だよー」と言う方はぜひ引き続き面白い動画コンテンツの制作に勤しんでください。
一方で、「今の段階で何一つできる技術や知識が無いー」と言う方は、まず機材と必要アプリ等を一式揃えながら使い方を覚えないといけません。
【機材】
・動画撮影用カメラ(例:一眼レフカメラ Canon EOS 9000D等)
・ガンマイク(例:オーディオテクニカステレオマイクロホン)
・動画編集用パソコン(例:Macbook Pro等)
【アプリ】
・動画編集用アプリ(例:Motion5、Final Cut Pro等)
・素材制作用アプリ(例:Affinity Photo、Affinity Designer)
一通り揃えると30万円前後かかりますが、調達コストに加え、撮影した動画を編集する時間と労力も必要になります。
一つも機材を持っていない、アプリを使ったこともないという場合は、とにかく今すぐ試してみたほうが早いですよ。
編集にかかる時間について
仕事で時折動画制作を請け負うことがあります。
5分程度の短い動画を作る際にかかる時間は下の通り。
・動画を撮影時間2時間×2回(前撮り+本番)
・動画の取捨選択と不要部分のカット作業2時間
・テロップ用の下地素材貼り付け2時間(素材制作含む)
・テロップの文字入れ作業2時間
・繋げた動画の確認、調整1時間
・書き出し20分
※修正作業が入るとさらに制作時間が伸びます。
5分程度でさらっと見れるコンテンツとしての動画を制作するには、撮影から編集までで約10時間以上の編集時間を費やす必要があります。
しかも、10時間ただ椅子に座って動画を眺めればいいのではなく、常に動画を見る人を意識してコツコツと制作していかないといけません。
ネタ出しの苦労と構成(脚本)への意識
制作に携わっている人からすると「ネタ出し」というのはいつも頭を悩ませる工程です。
「こんな感じの動画があったら面白いだろうな」と、漠然と考えても、それを形にするためには全体の構成をイメージしたプロットを用意して、その動画に仕上げていくための素材集め、そして仕上げていくための編集スキルが求められます。
脳内で想像した動画のイメージを実際に形に落として行く作業の入り口として、プロットをしっかりと組んでからとりかからないといけません。
プロットを組むためには、想像力に加え、構成力・実行力・読み書き能力等の総合的な力が必要なのです。
1再生あたりの単価と収入(月収・年収)
YouTubeの再生単価は1再生あたり平均的に0.05円。
100回再生されてようやく5円の収入です。
1万再生で500円。
YouTubeアドセンスの最低支払額が8000円に設定されていますので、投稿した動画に対する広告収入を得るには最低でも16万回再生されないといけない計算になります。
YouTubeに貼られている動画広告やバナー広告では、ほぼ収入が発生しないようになっていますので、実質再生回数=YouTubeからの収入となります。
例えば、制作時間10時間の動画を10本(100時間)アップロードして、8000円の収入を得るためには1動画あたり1万6千回の動画閲覧数が必要となるのです。
8000円のために、100時間費やす覚悟はありますか?
月収や年収は動画の再生数に左右されるため、運良く人気動画配信者になれれば良いですが、基本的には常に新しい動画をアップロードし続けて再生数を稼いで行かないといけません。
安定した会社員のように毎月20万〜30万円の月収を得て、年収600万〜800万円を超えるには、相当地道な下積みが必要なのです。
不特定多数に公開するデメリット
そして、ブログや他のSNSと異なり、YouTuberの場合は顔出しというリスクを背負わないといけないデメリットがあります。
しかも、閲覧者は不特定多数のユーザーです。
当然、高評価をつけてくれるユーザーだけでなく、低評価やクレーマーに近いユーザーもいます。
学校の知り合いや、職場の同僚・上司が見ることだってあるかもしれません。
しかも、アップロードした自身の顔は一生ウェブ上にキャッシュとして残り、万が一フルネームで掲載しようものなら、就職活動の際に恐ろしい黒歴史を晒すことになります。
うわ、怖い。
まとめ
簡単に「YouTuberになりたい」と口にするのは自由ですが、既に利益を出している人は、動画制作に必要な機材の調達、ネタ出しや構成・素材の準備を含めた編集作業、そして顔出しによるデメリットを乗り越えた先にいるのです。
何かに挑戦してみたいと思うなら、口先だけでなく、実際に制作環境の準備や脚本制作・素材制作、そして動画編集作業を行うという行動を実際にやってみることが重要です。