前々から興味があった「人喰いの大鷲トリコ」をとうとうプレイしました。
全クリアまでにかかったプレイ時間は約13時間ほどです。ワンダと巨像が7時間ほどでしたので、比較すると2倍ほどのボリュームとなっていたことがわかります。
ただし、ワンダと巨像は「巨像との熱いバトル」のお陰で退屈せずにどんどん先へと進めることができましたが、トリコはゲーム性が大きく異なり、ダンジョンパズルを解いて進んでいくゲームであるため、1度あたりのプレイ時間は1時間〜2時間が限界でした。
評価・感想
ボリューム ★★★☆☆
ストーリー ★★★★★
グラフィック ★★★★☆
音楽 ★★★☆☆
操作性 ★☆☆☆☆☆
難易度 ★★☆☆☆
一通りクリアし終えた今となっては、「ゲーム史に残る傑作」と言われても納得の出来栄えだったと感じています。
トリコとの信頼構築までの過程や、協力しながら遺跡の上へと進んでいく感覚、敵の猛襲とトリコパンチ等、ワクワクする要素がてんこ盛りで楽しくプレイすることができたゲームです。
前半の遺跡探索期間が長過ぎて、途中退屈な印象を受けてしまいましたが、中盤から後半にかけての盛り上がりで帳尻が合いました。
トリコの挙動を楽しむ
このゲームは大鷲トリコの挙動を楽しむことができるかどうかで評価が大きく変わります。
動物好きな人は、中々思い通りに動いてくれないトリコを見ても「まあ仕方ない、少し待つか」と思うことができる一方、反対のプレイヤーは「早く動けよ!」とストレスを感じる可能性がある設計だと思います。
僕は動物好きなので、思い通りに動いてくれないことも含めて楽しむことができたのですが、別の部分ですごくストレスを感じながらプレイしていたのも事実です。
「少年の操作性」がすこぶる悪い
僕にとっての「人喰いの大鷲トリコ」に関するストレス要因は、この一点に尽きます。
とにかく操作性が悪いので、少年が思うように動いてくれず、意図しない方向へのジャンプ、不意の落下やしがみついたトリコに振り回されるといった数多くのストレスを感じながらプレイしていました。
遺跡内の仕掛けを解いて回る立体パズルな仕様であることを鑑みると、操作性についてはワンダと巨像を踏襲せずに作り直した方が良いと思えるほどです。
中盤以降は心が震える
長い遺跡探索を経て、ようやく信頼関係を築き上げた2人。トリコを先へ進めるために四苦八苦した結果、落下する少年をクチバシや尻尾でナイスキャッチするトリコに心が震えます。
(トリコとの距離が空き過ぎていると、時折キャッチミスでそのまま奈落の底へ)
少年が落下する途中、モーションがスローになっていき、トリコがナイスキャッチをしてくれます。
とても「人喰い」の異名を冠するような怖さは感じられまs…
(いや、もしかしたら非常食として大切に取り扱っているのでは?疑惑のあるシーン)
戦闘での少年はちょっとお荷物
ところ変わって、戦闘面。
良い感じに少年のお荷物っぷりが遺憾なく発揮されます。戦闘要員ではないので、敵を倒せるような攻撃は一切できません。
できて精々、「敵を押す」と「鏡を構えてレーザー位置を指定する」の2種類ですが、レーザーは終盤しか使えません。
序盤から中盤にかけてはひたすら逃げ惑いながら、トリコが敵を倒すまで眺めるお仕事です。トリコに刺さった矢を抜いたりすることも可能ですが、戦闘に大きな影響は無いので、ことが済んでからで十分事足ります。
操作性の悪さも相まって、重要な戦闘場面での誤操作(誤挙動)はコントローラーがミシミシと音を立てるほどの緊迫感(別の意味で)を醸し出してくれました。
途方もなく美しい景色
今回はPS5でプレイしたのですが、グラフィックはかなりのもので、画面もヌルヌル・キビキビ動いてくれました。
少年が連れ込まれた謎の遺跡最上部へ到達した時に見ることができる夕日の景色はゲームしに残る絶景の1つとして語り継ぐことができそうです。
谷の外側にある夕日を無言で見つめるトリコ。そんなトリコの様子を見る少年が何を想うのか、想像しただけで切ないワンシーンです。
でもこれ、ムービーシーンではなく、通常のプレイシーンなのです。こうした瞬間に出会うことができるのが、このゲームにおける唯一性であると思います。
「少年」は何者だったのか
巷では、村に戻った際に呼ばれた名前が「イエトゥク」と聞こえることから、「ietuok」=「皇帝(逆読み)」と評される少年。
ストーリーの中ではそれ以上多くを語られませんが、トリコに選ばれたことと少年の生い立ちは何かしら関係があるのかもしれません。
遺跡の核(コア)と大鷲族
遺跡の中で最も大きな白い塔の上に、謎の核(遺跡のコア)がありました。少年の回想でも語られるように、これこそが「谷を支配していたナニカ」なのでしょう。
事実、この謎の核によって大鷲族は人の子を遺跡へ連れ帰ったり、異物を排除するような行為をとるよう命令されている様子が伺えます。
外から谷の中にある遺跡へ戻ってきた大鷲たち。口の中から緑色の何かを遺跡の投入口へ入れることで、食事である緑色のタルが放出されます。この緑色の物体をよく見ると、「人型(ヒトガタ)」に見えなくも、、、
白い塔の屋上で、洗脳を受けている大鷲たちと少年・トリコが一方的に苦しめられます。
このシーンはかなり心を抉る演出でした。
色々あって、無事に遺跡を支配する謎の核を破壊することに成功します。
少年の操作感が著しく悪い仕様ではありましたが、総じて「ゲーム史に残る傑作」であるものの、ゲーム的な楽しさ・爽快感の面を加味すると「良ゲー」という位置付けがしっくりくるように感じられます。
★注意★ここから先はエンディングに向けての画像が多く公開されていますので、未プレイの方はプレイ後にご覧ください。
エンディングに向けて
大鷲たちと格闘した結果、無惨にも敗戦したトリコ。
そして、尻尾を食いちぎられてしまう結果に、、、
少年が謎の核を破壊したことで、無事に白い塔から飛び立ち、谷の崖上まで到着した少年とトリコ。
白い塔は壊れたように見えましたが、外壁が崩れていっているだけのようです。
まだまだ謎の残る遺跡ですが、本編ではこれ以上語られませんでした。
ようやく大きな翼を広げて、少年を咥えたまま大海に向けて飛び立つトリコ。
少年が暮らしていた村へ到着し、トリコは口の中から少年を吐き出します。
村の大人たちに恐れられ、槍を刺されそうになる姿に哀愁を感じます。
少年は意識が遠のいている状態なので、トリコが自分を助けてくれたことを大人たちに伝えることができませんでした。
それでも、トリコを守りたい一心で、「飛び立て」の命令だけ震える腕でトリコに指示を出しました。
その命令を見たトリコは、一瞬少年の方をじっと見つめてから、大空へと飛び去っていきました。