僕にとって、FFシリーズは長いことプレイし続けている定番のRPGゲームです。
思い出深いのはFFⅤとFFⅥで、当時は何本もゲームソフトを買うことができなかった(ソフト1本12000円くらいした)こともあって、同じゲームを何周もプレイした記憶があります。
そして時は2016年11月29日。
あのFFシリーズはナンバリングタイトルとして15作目を迎え、FFⅩⅤを冠することとなりました。
PS4という最強の据え置きゲーム機のスペックをふんだんに活用し、広大な野山と海岸をバックに男4人旅。
機械とクリスタルと中世風の世界で、剣と魔法のファンタジー路線は変わらず継続されていました。
、、、が!!
中古ゲームショップでは投げ売りの嵐。
発売後1ヶ月足らずで新品価格から60%以上の値落ちというのは、新品で発売日に買ったプレイヤーにとって悲しい結末でしかありません。
一体なぜこれほど期待されていたゲームシリーズが投げ売りワゴンへ投入される結果となったのか、発売から時間が経った今になって感想・レビューとともに振り返って考察してみたいと思います。
※しかもヨドバシでは通常版新品価格980円で投げ売りされてた模様。
なぜこのメンバーで男4人旅してたのか
ルナフレーナとの結婚を機に、ノクティスはグラディオ・イグニス・プロンプトと一緒に愛車レガリアに乗って4人旅に出ます。
ですが、そもそもなぜこの4人で旅に出ることになったのかについて一切の説明がありません。
グラディオ:脳筋ゴリラ
イグニス:スカしたシェフ
プロンプト:写真好き女子高生
一通りプレイして感じた彼らの立ち位置は上の通り。
しかも、出発とほぼ同時に帝国軍によりルシス王国の首都インソムニアは殲滅させられ、一気にノクトは亡国の王子に成り下がります。
いや、愛着とか親近感が湧く前にいきなり故郷壊滅させられても、、、
帝国ニブルハイムに抵抗するため、歴代王たちの墓所を訪ねて力をもらうイベントは任意で、行っても行かなくてもメインストーリーに影響は無いとか。
(そのくせ最終バトルではちゃっかり歴代の王たちの力を借りまくってラスボスを倒すという謎展開)
ルナフレーナって結局何がしたかったの
水都オルティシエにいる未来の花嫁ルナフレーナを求めて4人は旅をします。
途中でルナフレーナによりけしかけられたタイタンに殺されそうになったり、せっかく召喚したリヴァイアサンをコントロール下に置く前にアーデンに邪魔されてノクティスたちに襲いかかってきたりと、ルナフレーナのやる事なす事が全て裏目に出ています。
ルシス王国に恨みを持つアーデンがわざとそのように仕向けたという見方もできますが、いちプレイヤーとしては、神凪としてもう少し上手に立ち回れても良かったのではないかとも思うわけです。
ルナフレーナは本来、ノクティスに星を守る力を身につけさせるため、神の力をノクティスに貸すよう説得する予定だったようです。
しかし、本編での登場回数の少なさと掘り下げ不足により「目的がよく分からないまま気づいたらアーデンに殺されてしまった人」としか見えないのが残念でした。
アーデンがノクティスに執拗に嫌がらせする理由
帝国の宰相であるアーデンが「アーデン・イグニス」というフルネームを名乗るまで敵の正体に気づかないイグニス(他3名も)。
敵国の宰相の顔・名前くらいは覚えておくものじゃないですか、軍師イグニスさん!
その後、事あるごとにアーデンはノクティスの行く手に現れては執拗な嫌がらせで困らせてくれます。
そもそもあなたは何の目的で邪魔をしに来ているのかという重要なポイントについての説明がごっそりと削ぎ落とされているせいでメインストーリーを進めている最中ずっとはてなマークが脳裏に浮かびました。
そして、最後の最後になってようやく本名は「アーデン・ルシス・チェラム」であり、遠縁の叔父(っても2000年以上前)にあたることが判明します。
バハムートが、「アーデンは感染症であるシガイ化の原因となる寄生虫を自身に取り込み過ぎて本人がシガイ化してしまった愚かな男だ」と彼の生い立ちをざっくりと一蹴していますが、本来そこはもっと詳細なエピソードを語るべきでしょう!?
エピソードアーデン?!
後出し追加コンテンツじゃなくて、そもそも本編に入れるべきでしょうが!
王国内の小競り合いと壮大な兄弟ゲンカ
結局のところ、本作で語りたかったのは「ルシス王国内の王位争いを元にした光(ノクティス)と闇(アーデン)の戦い」でした。
エピソードアーデン発表と同時に、その前日譚であるアーデン編のアニメが公開され、アニメを観ることでようやくFFⅩⅤでアーデンがルシス王国に恨みを持つに至ったかなどが理解できます。
でもこれ、アニメじゃなくて本編で語ればいい話じゃない?
クロスメディア戦略でマーケティング手法を工夫して購入者の母数を増やす目的であることは理解できます。
しかし、こうした本編にこそ含むべきコンテンツを切り離したせいで、肝心の中身がスカスカなゲームに成り果ててしまったことに気づくべきでしょう。
はっきり言って、今のスクエニは消費者を舐めすぎてます。
そして、主題が本編で語られないことが問題だ
DLCを期待してシーズンパスを買ったプレイヤーも少なくないはず。
そもそもの話、FFⅩⅤは発売時点で未完成のゲームでした。
失敗の原因はここにあります。
FFⅩⅤは、枠組み(オープンワールド)を無理やり作り、それっぽいストーリーを見せた後で、大量のDLCにより稼ぐことが目的となった「ゲームの皮を被った集金マシン」にしようとしていたのでしょう。
ノクティス以外のキャラクターに関するストーリーを全て切り捨て、
「プレイしたければ追加DLCで購入しなさい」
「詳細はアニメ動画を見なさい」
「やっぱ追加DLC開発中止!」
「中止部分は小説を買いなさい」
という残虐非道っぷり。
ソフト1本で魅力的なキャラクターたちが織りなす重厚なストーリーを語るゲームを作る力は今のスクエニ開発陣には無いのでしょう。
売り上げだけを目的にして、大事なシーンはソフト発売後に「これから開発するんでシーズンパスでカンパよろしく」と言いながら途中で開発中止とかほぼ詐欺です。
感想・評価
【ストーリー】★☆☆☆☆(星1つ)
【映像】★★★★☆(星4つ)
【音楽】★★☆☆☆(星2つ)
【操作性】★★☆☆☆(星2つ)
【難易度】★★☆☆☆(星2つ)
ストーリーに関しては上述の内容に僕の意見をまとめています。一言にまとめるなら、「追加するする詐欺で無理やり販売した未完成の集金マシン」です。
本編に含めるべきストーリーを全て切り離し、プレイヤーに必要な情報や背景となる知識を与えることなく映像ゴリ押しで「なんとなくFFをプレイした」と錯覚させただけ。
一方で、映像面だけで見れば和製ゲームの最高峰と言ってもいいクオリティです。
なぜこれほどまでの映像クオリティで、あんな稚拙で残念なゲームに仕上がったのか疑問しか浮かびません。
音楽は全体を通して印象的なものが無かったというのが本音です。
操作性についての大きな問題点は「オープンワールドを装った見えない壁」のせいで大きくマイナス。
崖の下に降りたいのにガードレールを飛び降りることはできず、数百メートル先の階段まで走ったり、ちょっとした崖を登ることもできず、指をくわえて眺めるだけだったり。
オープンワールド開発の技術がないなら、一本道マップで良いからもっと上手にストーリーを語ってくれ!
あまり今作について難易度が話題になることは無いと思いますが、ほぼ攻撃ボタン連打で勝てます。
死にかけたら(むしろ一旦死んでても)ポーションを使えば何事もなかったかのように復活。
「攻撃ボタン連打→ポーション→攻撃ボタン連打」
え?魔法?
撃ったら仲間まで被弾するから撃てないんや!
まとめ
1年間、追加DLCの発表状況を待ち続けた結果が、「開発中止」の4文字。
希望が絶望に代わり、FFブランドの崩壊がはっきりと露呈する結果となりました。
FFⅩⅤがどれだけ多くのゲームプレイヤーの期待の的であったのか。どれだけ長い時間待ち続けられていたのか。
そして、発売された肝心の本ソフトは「数多のプレイヤーの期待を遥かに下回る中身スカスカの駄作」と評されるほどの内容で、その補填としてのDLCも赤字によるスクエニの損切りによる「開発中止」の決定。
少なくともシーズンパスを買ったプレイヤーや、フルプライスで買ったプレイヤーに向けて、何かしらの補填や廉価でのコンプリート版発表をしないと一旦崩壊したFFブランドの復帰は容易ではないでしょう。