大人になるとゲームに熱中する意欲が低下しがちですよね。
仕事が忙しかったり、プライベートが忙しかったりと、PS4の電源を入れてテレビ画面を前にどっしり腰を据えてコントローラーを握るのが億劫になっている人も多いかと思います。
手軽にプレイできるスマホの無料ゲームでお茶を濁し、時々ニンテンドースイッチを起動してボタンをぽちぽち連打するゲームで時間を潰す、、、そんな時間の使い方を過去のものにしてくれる最高の大人向けソフト「ダークソウル3」について、僕自身のプレイ経験を交えながら紹介します。
ダークソウル シリーズ最高傑作
本作はダークソウルシリーズの最後を飾る作品としてリリースされ、2つのDLC「ASHES OF ARIANDEL」「THE RINGED CITY」を経て長きに亘るダークソウルの物語は完結を迎えました。
物語的なつながりを示唆するのは「ダークソウル (無印)」と「ダークソウル3」の2作品であって、ダークソウル2は外伝としての立ち位置と考えると、プレイする場合はダークソウルリマスタード→ダークソウル3の順がオススメです。
ダークソウル3の主な物語
灰の墓所で目覚めた主人公「灰の人」は、本来陰りつつある「はじまりの火」を継ぐべき「薪の王」たちを玉座に連れ戻すため、ロスリックの地を駆け巡る。各地に散らばった薪の王たちも火継ぎに応じることは無く、互いに対峙することに。
玉座を捨てた薪の王たちとの激戦の末、彼ら(の一部)を玉座へと戻し、はじまりの火の炉へと歩みを進める主人公「灰の人」。そこで待つ最初にして最後の者と出会い、剣で語る。
また、イルシール地下牢を抜けた先でジェスチャー「古竜への道」を行うことで「古竜の頂」へと到達。ここではグウィン王の長子とされる「無名の王」と対峙することとなり、息もつかせぬ戦いに身を投じる。嵐の竜と無名の王を倒した先にポツンと落ちている竜狩りオーンスタイン装備一式は、彼が近くに居たことを示すのか、あるいは、、、
一方で、アリアンデル絵画世界では、大きなキャンバスに向かって絵を描き続ける少女(お嬢様)と出会う。彼女は、自身が描く絵に「ずっと寒くて、暗くて、とっても優しい絵…。きっといつか、誰かの居場所になるような」という想いを乗せ、「暗い魂の血」を顔料として絵画を完成へ導くよう筆を進め続ける。お嬢様と邂逅し、奴隷騎士ゲールとともに、修道女フリーデと教父アリアンデルの2人と戦うことで、「アリアンデル絵画世界」の物語は終わりを迎えることとなる。
そして長きに亘る継承の物語終焉。
「吹き溜まり」を経て「輪の都」へと到達し、闇の竜ミディールの妨害をかい潜ってグウィン王の娘「フィリアノール」と邂逅を果たした「灰の人」は、世界の真実を目の当たりにすることとなった。「ずっと寒くて、暗くて、とっても優しい絵」を描くための「顔料」を欲するお嬢様のために、「暗い魂の血」を求めて旅を続けた奴隷騎士ゲールは、世界の果てで何を想うのか。
終焉を迎えつつある世界で、それでも尚、「託された使命」や「誰かのため」に戦い、生き抜き、勝ち取る物語は「輪の都」を以て、ダークソウルの世界は完全に終焉を迎えることとなる。
使命と継承の物語
ダークソウル無印で火継ぎに向かった大王グウィンから長い時を経て、後に「王たちの化身」と呼ばれる数々のプレイヤーがダークソウルの世界で「はじまりの火」を絶やさぬよう、継承していきました。それにも関わらず、世界からは焼べるべき薪が失われ、灰の嵐が吹き荒ぶ荒廃への道が、その顔を覗かせては消えていきます。
そんな過酷な世界において、「王たちの化身」が継承してきた火継ぎを行うか否か、自らに課せられた使命と世界の変化を天秤にかけながら戦う主人公「灰の人」は何を想うのか、とても感慨深いところです。
難易度のバランス調整が素晴らしい
仁王2やアサシンクリードオデッセイ、コードヴェインといった数々の「死にゲー」の元祖であるダークソウルシリーズ(さらに遡るとデモンズソウル)。何が素晴らしいかって、「難易度のバランス調整が神がかってる」の一言です。
「ただの理不尽」と「高難度」の違い
物語展開や世界観も丁寧に作り込まれている点は上述の通りですが、フロムソフトウェア以外の死にゲーは「数の暴力」「理不尽なスーパーアーマー」「プレイヤーの行動を制限する要素」と言った「ただの理不尽」を「高難度」と捉えて制作している節があります。加えていえば、「実質一本道」という点も少し残念な要素です。
初期レベルでもクリア可能な恐るべきバランス調整力
しかし、ダークソウルシリーズでは、プレイヤースキルが高ければ、初期レベルでもラスボスを倒せるほどのバランス調整がなされており、進むルートもある程度の自由度が許容されているので、序盤から物語中盤に戦うボスと戦うことも可能。
(勝てるかどうかはプレイヤースキルに依存しますが)
結局のところ、「ソウルライク」のゲームが「本家ダークソウルシリーズ」にはいま一歩及ばないのは、こうした「プレイヤー目線に立ったバランス調整が不足していること」によるものなのだと考えられます。
マップデザインとグラフィックが印象的
ロスリックの高壁から始まり、不死街、ファランの城塞、冷たい谷のイルシールへと到達した時の高揚感。イルシール地下牢から罪の都へと足を運ぶ時のドキドキ感。アリアンデル絵画世界や輪の都を探索している時の恐怖と興奮は、緻密なマップデザインと美麗なグラフィックだからこそより一層強く印象づけられるのでしょう。
もちろん戦闘面では「ソウルライク」に舵を切ったアサシンクリードオデッセイも、グラフィック面は超美麗で、古代ギリシアの世界観を再現していると言えるほどのクオリティです。ただ、どこへ行っても街並みが変わらず、新鮮味や未知の領域を探索する高揚感は得られませんでした。
こうしたマップデザインの良し悪しはプレイヤーに対してより印象的なプレイ体験を得させることにつながり、記憶に残る最高のゲームという評価につながっていくのです。
世界観とキャラデザインの統一が心地良い
秀逸なキャラデザイン
みんな大好き「ファランの不死隊」。
初めて遭遇した時には鳥肌が立つほどのカッコ良さと恐怖を感じました。こんな強そうなボスに勝てるのかと、、、
もしかしたら中盤の壁であるファランの不死隊に勝てないせいで、コントローラーを置いてしまった方もいるかもしれません。こうした明らかに強いボスでも、レベル上げや装備の見直し、立ち回りを意識することでこれまでの苦労が嘘だったかのようにあっさり倒せるのがダークソウル3の面白さであり、他のゲームが到達できない領域なのでしょう。
とにかくカッコいいファランの不死隊
キャラデザインと世界観の親和性
世界観とキャラデザインが完全に統一されているお陰で、恐ろしいほどの没入感でプレイすることができつつ、途中で急激に冷めるような「それはないでしょう、、、」といった違和感は皆無です。
イザリスの魔女に由来する地にはデーモン類の敵が現れ、ロスリック城から冷たい谷のイルシールに由来する地には騎士系の敵が現れる等、ダークソウルの世界を構成する要素から逸脱することなく自然に配置された敵が存在することで、各地の存在感をより立体的に表現することに成功しています。
※敢えて言うなら、イルシール地下牢の「獄吏」、貴様だけは決して許さん(結果、「見えない体」を使って走り抜け安定)。
本作では無印にも登場したカタリナ騎士(今作ではジークバルド)にも会えます。いつもながら可愛らしい玉ねぎ装備に身を包み、主人公の行く先で唸っては一歩ずつ先へ進む姿が好印象。
挑戦すれば必ず突破口が見つかる
アクションゲームが苦手という方もいます。
ホラーゲームが苦手という方もいます。
僕は、両方とも苦手です。
それでも、ダークソウルシリーズ・Bloodborne・隻狼は全クリするまでプレイを継続することができました。
本家本元たる所以
これらの本家「死にゲー」に関して、プレイヤーに「もう一回チャレンジしてみようかな」と思わせる要因として最も重要な点は、以下の通り。
「敗因がプレイヤー側にあり、かつ明確である」
「プレイヤーの能力、行動を制限することはしない」
「予備動作が明確で、理不尽な攻撃はしてこない」
「繰り返し挑戦すれば、突破口が見つかる」
まとめ
緻密なレベルデザイン、丁寧に設計された数々のマップ、世界観にマッチした魅力的なキャラクターたち。
こうした要素をひとつの作品にまとめ上げ、綺麗に終焉を迎えたダークソウルシリーズは、大人ゲーマーにとって1度は挑戦すべき作品という位置づけと言えます。