『お金がどんどん増える人  お金がたちまち消える人』ー「お金を儲ける方法」よりもまず、「お金に対する感覚を鍛える」ー

“思うようにお金が貯まらない…”

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「毎日こまめに節約しているのに、お金が貯まらない。もっと切り詰めないと生活ができないかもしれない。いっそ貯金を崩してしまおうか、、、」

そんな風に考えながら毎日少しずつストレスを溜めてしまう僕のような人は多いはず。

《正しいお金の使い方》

《お金を増やすお金の使い方》

これを身につけなければ、いつまでたっても今の状況を打開することはできない!そう考えていた時に面白そうな本を見つけた。

タイトルは「お金がどんどん増える人 お金がたちまち消える人(著者:牛堂登紀雄)」というもの。

巷にあふれる「大金持ちの習慣」を文字にしたというよりも、「お金に対する捉え方」について、増やしていける人と消費してしまう人を具体的な事例を基に書かれている。

「モノが住む家」

《本文引用》
「お金が消える人の家はモノにあふれ返り お金が増える人の家はモノが見当たらない」

 

《「家にモノがあふれている人は、『モノがある』という状態が心の支えになっている」》

 

《また、モノを捨てられないのは、そのモノに執着しているということであり、そういう人の行動特性として、自分のモノを失うことを極度に恐れ、リスクをとってチャレンジすることを避ける傾向がある》

以前書いたエントリ片付け上手が実践している「断捨離」のための考え方ー「収納を増やす」は愚策らしいよーにもあるように、モノは目的を遂行するための手段であって、それを手に入れること自体が目的ではない。所有欲に支配されている状態や、決断できない意思の弱さを改善しなければ、「他の人も持ってるし」や「いま一番売れている製品はこちらです!」というようなセールストークに惑わされることもなく、本当に必要なのモノだけを選択することができるようになる。

住む家にモノがあるのではなく、「モノが住む家」というような状態になっているとしたら、それはおよそ黄信号、状態によっては赤信号だ。「お金を増やしたい」と考えるなら、即刻モノを買い溜める作業は止めて、まずは身の回りのモノを大量に捨てる(削ぎ落とす)作業から始めなければならない。

僕自身、モノや本に囲まれすぎて、足の踏み場を探さなければいけないくらいの、まさしく「モノが住む家(もっと言えば、モノの集積所)」と言っても過言ではないくらいひどい状態にしてしまったことがある。

“部屋が汚れているのは、家が狭いせいだ。もっと広い家に住めば、きちんと収納できる”

なんて考えているうちに、モノは増え続け、お金は減り続け、負のスパイラルが続いていく。ある時、自分のキャパシティを超えて、冷静になった一瞬、「なんでこんなに無駄なモノにあふれて暮らしているのだろう…」と思い、部屋にあったモノを1/5ほどに圧縮した結果、頭の中と心の中がすっきりした。それだけでなく、お金に対する考え方もとてもシビアになり、何かを買う前に「コレを買うことによって僕にどんなメリットがあるのだろうか、家の中に代用できるものはないだろうか」という視点を持って検討することができるようになった。

少なくとも、以前のように【浪費】としてのお金の使い方は卒業できた経験が、上で紹介した一文と合致していることを改めて思い知らされたように感じる。

これを達成した上で、次に必要となるのが、「お金を増やすために、お金を手放す」という行為。

具体的には、以下の3つ。
1.未知の何かに挑戦すること
2.自分自身に投資すること
3.他人に振る舞い、もてなすこと

確かに、自分の周りの世界だけを見ていても新しい知り合いは増えない。自分への投資(読書や様々な経験)をしなければ、お金を増やすチャンスに遭遇してもそれらを見過ごすことになる。そして、他人に振る舞い、もてなすことをしなければ、他人から貴重な情報を得ることもできないだろう。

「見栄」と「羨望」は1円にもならない

《本文引用》
「お金が消える人は“他人の持ち物”に興味を持ち お金が増える人は“自分の将来”に興味を持つ」

 

《これが行きすぎて、見栄が暴走すると、ローグレードの安価なものを買う自分が許せなくなってしまう。その結果、出費がかさみ、あるいは高額品の購入が増え、自分は満足したが、お金は減る一方という状態になる》

 

《お金持ちがなぜお金持ちであり続けるかというと、見栄のためにお金を使う必要がないという理由もある。他人の目を気にしないということではなく、他人との比較で自己満足を得る必要がないということ。他人の持ち物との比較は、精神状態になんら影響しないのだ》

 

《彼らは見栄ではなく、将来の売り上げや収入・信用など、結果につながりそうなことにお金を使っているということだ。お金が増える人は、「将来の自分」に積極的に投資する》

新商品が発売する度にワクワクしてしまう。コンビニに入れば、目の前に並ぶ新商品の数々。車の販売店を見れば、最近発表された新型車がずらりと並ぶ。家電量販店へ行けば、所狭しとパソコン・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・タブレット端末といった様々な家電が目を奪う。服屋に足を運べば、店員が「いまのトレンドはこちらのお洋服ですよ。皆さん1枚は買っていかれます」などと言って新商品を勧めてくる。

かくいう僕も新商品は大好きだ。見ていれば「ワクワク」もするし、「欲しい」という衝動に駆られることもしょっちゅうだ。正直ところ、以前のエントリで書いた【Macbook12】は、今でも喉から手が出るほど欲しいし、家電量販店やApple Storeへ行く度に目を奪われてしまう。街中でMacbook12を使っている人を羨ましく思う。

でも、現在使っているMacbook Pro 13でできないことが、Macbook12でできるのかと問われると答えは“NO”だ。反対の事例は数多く挙げられるにも関わらず、「Macbook12を買うだけの正当かつ論理的な理由を述べることができない」。すなわち、「衝動的に欲しいと考えている」ということになる。

きっと、今の状態のままこれを買ったところで、僕にできるのはせいぜいスタバに持ち込んで新商品であるMacbook12を持っている自慢(スタバでドヤリング)くらいしかできないのだろう。悲しいことに。

最近考えるようにしているのが、“では、Macbook12が本当に欲しいのあれば、「本業以外の収入で16万円以上収益を上げるか、Macbook12を購入することによって16万円以上の収益を上げるビジョンを描けるか」”という視点。

他人への見栄のために、新商品に飛びついたところで、その時その瞬間にほんの一瞬だけ自分の見栄を満たし、自尊心の海に身を浸すことはできるかもしれないが、後に残るものは何もない。

そう考えれば、「自分の持ち物でできること」と「他人の持ち物への羨望」を【それが自分にとって本当に価値あるモノか】というモノサシで測れるようになり、結果として不必要な出費を抑えることにつながるはずだ。

他にも「お金が消える人は“新製品”を買い お金が増える人は“型落ち”を買う」という一文もあるが、内容としてはこれと同じで、【見栄】や【羨望】に固執せずに【機能】といった本質の部分を見ることが大切であると書かれている。

 

「まずは勉強」という脅迫観念はすぐに捨て去る

《本文引用》

「お金が消える人は“まず勉強”から始めるが お金が増える人は“まず行動”に移す」

《“まず勉強”では、これからの時代、お金が増えることはない》

 

《入り口は検索でも読書でもいいが、“まず体験”することだ。実際に頭と体を動かしてマスターする方法が、最も効果が高い。コピーライティングを学びたいなら、実際の商品に自分でコピーをつけてみる。起業を学びたいなら、自分の得意な分野でコンサルタントを名乗り、それに値段をつけて営業してみる。パーソナルブランディングを学びたいなら、ブログと個人の名刺を作り、情報発信を始めてみる》

 

《ビジネスパーソンにとって、勉強とは体で習得することだ。実践経験を積み重ねる中で、成果を出す力が獲得できるのだから。お金が増える人は、気になることややってみる》

例えば、ブログでアフィリエイトをしようと考えている人が、「ブログの作り方」の本を買って読み、「アフィリエイトのやり方」に関する本を買って読み、「失敗しないブログ運営とSEO対策」なる本を買って読んでいる間に、たくさんの時間をロスしてしまっていることに気づかなければならない。

上のような場合では、アメブロでもFC2ブログでもはてなブログでもなんでもいい。【まずは無料のブログを開設してみて、そこにGoogle Adsenseなり、Amazonなり、iTunesなりの広告を貼ってみる】方がよっぽど学ぶことが多い。もちろん失敗することの方が圧倒的に多いが、《知識》以上に重要な《体験》を得ることができるのはとても大きなアドバンテージとなる。

経験を通して、人は多くのことを考えるようになり、失敗を通して、人は多くのことを学ぶ。知識の習得に勤しむことの大切であることは重々承知の上で、「まず行動」をしてから、足りない部分を「行動」で補う方が費用対効果は想像以上に大きくなるのだろう。

 

いつも「穏やかな人」であれ

《本文引用》
「お金が消える人は“すぐにキレやすい”が お金が増える人は“いつでも穏やか”に振る舞う」

《お金が増える人は、感情的にならない人。仕事上でも感情を表に出す人間は抜擢されにくい。大事な顧客の前に出せないだけでなく、人の上に立つ立場にも置けない》

 

《感情をむき出しにしやすい人は、感情によって思考が支配され、深く考えることができなくなり、視野も狭くなる。深く考察すべき場面でも感情が優先するために、複雑な問題に直面すると“ああもう、面倒くさい!”と思考する行為そのものを放棄してしまう》

 

《もし感情的になりそうになったら、“今のこの場面で、本当の目的はなんだっけ?”と思いを馳せるようにしたい。お金が増える人は、感情で目的を忘れない冷静さを持つ》

お金を持っている人は、穏やかな人が多い。これは確かにその通りだと思う。反対に言えば、「お金があるから、穏やかなのだ」とも言える。それでも、何か大事な仕事を依頼しようという時に、お金にガメツクて、目をギラギラさせたような人にはとても任せることはできない。同時に、ちょっとしたことで感情的になる人は、衝動的にお金を使い込んでしまう可能性も考えられる。

また、スマホゲームのアプリに課金を煽るシステムとして様々な形態の“ガチャ機能”があるが、「ほんの1回だけ…」と言っている間に、気が付いたら5000円チャージしていたなんていう経験がある人も要注意だろう。

お金を軸に、俯瞰的かつ冷静に、客観的に物事を分析して、行動に移せる人のところにお金は集まっていくということらしい。だけどその主張はよく分かる。そして、実際にそうなのだろう。

 

「レビューを見て買うこと」はしない

《本文引用》

「お金が消える人は“レビューを見て”本を買うが お金が消える人は“実際にパラパラめくって”買う」

 

《まずは「目次」を見てみよう。自分が欲する情報が含まれているだろうか》

 

《さらにパラパラとページをめくり、読みやすい「文章」で書かれているか。これは私自身も背筋を伸ばすべき点で、読みやすい文章とは、著者の読者に対する愛情の表れだからだ。逆に読みにくい文章は、著者のひとりよがりであり、編集者の怠慢であり、そんな本は私の経験からも、学べる点は少ない》

 価格コム、amazon、ヨドバシカメラ、Yahoo!映画、app store、食べログ、じゃらん…今では挙げればキリが無いほどのレビューを活用したウェブサービスが世間には溢れかえる。

新しく何かを買おうとする時には、まずそれを実際に使った人の感想を聞く方が、実際に自分がそれを試す前のスクリーニングになると考えられるからだ。事実、僕もこれらのサイトのレビューはよく参考にするし、購入判断の材料にもする。

だけど、一概にこれらを信用してはいけないことも最近わかってきた。どうやら、こういったレビュー作成を請け負う会社があるというのだ。

開発元はPRの一環として、印象の良いレビューを書くよう「依頼」を行い、それを請け負う会社は「その商品があたかも素晴らしい商品であるかのようにレビューをつける」といった茶番を繰り広げている。あなたが現在購入を検討している新商品のレビューも、業者が書いた偽のレビューである可能性にも注意した方がいいだろう。

結局のところ、見ず知らずの他人が感じた感想よりも、実際に自分が手にとって試用してみて初めて自分にフィットするかどうか判断することができる。

そういった意味では、最終的に「選択」をする上ではやはり【自分自身の目で見ること】以上に重要は判断基準はないのだろう。“皆が良いって言ってるから”や“この商品は本当にオススメ”などと言われようが、最終的に使うことになるのは自分自身なのだということを忘れないようにした方が良いのだろう。

 

最後に

「お金に対する考え方」は、学校教育ではまともに教えてはくれない。お金というのは、現行の学校教育においてはタブーなのだ。お金儲けは卑しく、節約はケチ、副業は本業に対する無礼といった古い考え方に基づいた昔ながらの考え方は今の時代には当てはまらない。

お金儲けに関して言えば、パソコン1台で広告収入でも、ビジネスの立ち上げでもなんでもできる。節約は言い換えれば「資源の選択と集中」であり、自分の生活を収入に合わせて最適化しているだけ。それに、副業は本業ができる人ほどどんどん実行することで、新しい道も開けていくだろう。

「常識は疑え」というのが僕の持論であり、あのアルベルト・アインシュタインも《常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである》という言葉を残している。突飛な発想に自信を持てなかったり、世間一般とはズレていることへの不安を感じたりしても、本質的には敢えて「世間一般とは異ならなければお金が増える人にはなれない」という。

【大金持ちの習慣】という漠然とした(実践的ではない)ノウハウ風の本に比べて、本書は実際にあり得るケースを中心にお金に対する見方や考え方を提示しているという面ではとても勉強になったように思う。

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