映画「ドラえもんのび太の南極カチコチ大冒険」を観てきた感想をまとめてみたよー今作は時間を忘れるほど綺麗な構成ー
“南極でのび太が拾ったリングと10万年前のできごと”
どうも、七色たいよう(@nanairotaiyo)です。
公開からだいぶ時間が経ってからようやく観に行くことができました。
映画「ドラえもんのび太の南極カチコチ大冒険」。
仕事が休みの土曜日に、チケットを握りしめ、いざ劇場へ。
劇場内には子どもや親御さんが溢れ、大人向けの映画とは違って場内が賑やかでしたが、ドラえもんやクレヨンしんちゃんの映画では毎度の光景。
退屈している親御さんが我慢できずにいじるスマホの光にもめげず、一通り観終った今、今作の感想をまとめてみたいと思います。
評価★★★★☆(星4つ)
無駄なシーンはあっさり流す英断
ドラえもんの映画の冒頭シーンといえば、だいたいお約束の「のび太のわがままに端を発したほのぼの日常シーン」が多く含まれます。
今作でいえば、夏の暑さに嫌気がさしたのび太が「涼しいところで勉強したい!」と発言したことから、最終的になぜか南極に遊園地を作るという流れになりますが、この遊園地建設・仲間と遊ぶシーンはかなり早い段階であっさりと流されていきました。
ほのぼの日常シーンも好きですが、作品に惹きつけられるかどうかは冒頭シーンにかかっているといっても過言ではありません。
そういった意味でも、冒険パートへの移行ができるだけスムーズかつ自然な流れでなされていく今作は観客としては観ていて「グイッ」と話に惹き込まれていける良い判断だったと感じられます。
冒険カットが多めなのが今作のポイント
上にも書きましたが、今作は冒険パートが中心です。
涼みに来て、いつの間にか氷の遊園地を作っていたのび太が氷の中からリングのようなものを見つけ、ドラえもんが鑑定すると、それは10万年前のモノだった、、、
「このリングの持ち主を探して、返してあげよう!」
そう考えたのび太とドラえもんは南極大陸を横断しながら、リングの持ち主を探しに冒険の旅に出て行きます。
もしかしたら、「南極大陸の下に伝説の都市『アトランティス』があるかもしれない!」というスネ夫の言葉を信じ、
極夜の南極大陸をソリで横断する姿は、観客としても「一緒に冒険している」かのような感覚に陥ります。
寒空で、視界も悪い中、ドラえもんたちは先へ先へとずんずんと進んでいく。
見たことのない世界で、体験したことのないできごとに遭遇して、それでもなんとか前を向いて進むこの姿勢こそ、映画ドラえもんの良さなのだと改めて思わされました。
敵はいるけど、、、
今作では明確に「敵」と呼ぶべきなのか微妙な立ち位置の存在と戦うことになります。
若干ネタバレが含まれてしまう可能性がありますので、DVDやブルーレイが出てからレンタルで観ようと考えている方はご注意ください。
———-以下、物語の核心部分に触れます———-
ヒョーガヒョーガ星からやってきたヒャッコイ博士と助手のカーラは、星を氷河期に追い込んだ古代兵器(石像?)であるブリザーガの倒し方を求めて10万年前の地球に辿り着いたそうです。
長生きのパオパオたちとともに暮らす彼らは、故郷のヒョーガヒョーガ星を救うため、ブリザーガを封じていたリングを手にするのですが、手にしたリングを落としてしまい、のび太たちに届けてもらうことになりました。
ブリザーガとは古代のヒョーガヒョーガ星人によって作られた動く最強の石像で、全てを凍らせる氷の使者とのこと。
このブリザーガが祀られている遺跡を守る石像として、姿を変えることのできる「怪鳥ヤミテム」。
遺跡への侵入者を排除するために偽ドラえもんへと姿を変えてのび太たちの行く手を阻みました。
ただ、映画を観ていてとても気になったのは
「古代ヒョーガヒョーガ星人は何のためにブリザーガを作ったのか」
「ブリザーガを置いてどこへ消えてしまったのか」
という点。
もしかしたら、新しい惑星を耕す目的で、人工的に氷河期を引き起こしてその反動で一気に荒地を緑豊かな大地に変えようとしたのかもしれません。
ただ、完成間近のブリザーガを置いて去ってしまった理由がイマイチわかりませんでした。
もしかしたら、地球は人工的に氷河期を引き起こさなくても、暮らしていくのに十分なほどの緑豊かな大地であることがわかり、ブリザーガが暴走しないように怪鳥ヤミテムとオクトゴンに守らせたのかもしれません。
まとめ
深読みをすると、核爆弾を扱いきれなくなった人間へのアンチテーゼともとれる今作。
そこまで意図していないにしても、古代ヒョーガヒョーガ星人の意図がよくわからないまま、ブリザーガを再び封印して終わるラストには少し違和感を覚えたのですが、作品全体を通して振り返ってみると、十分楽しめる内容に仕上がっていました。
ただ、残念だったのは映画版でお約束の「決意するのび太」「無駄に優しくなるジャイアン」「思わずホロリとさせられる感動シーン」が足りない気がしたのは僕だけではないはず。
それでも、一見の価値は十分にあると思いますよ!
※なお、次回作はもしかしたら南海大冒険のリメイクの可能性が高いのようですが、個人的には原作者である藤子・F・不二雄先生の作品でないことから、あまり期待していないのが正直なところ。