【パズドラ】「曲芸士」で”一瞬てま崩壊”-ソーシャルゲームのインフレと課金勢vs無課金勢の終わりなき闘い-
“曲芸士で良くね??”
全世界でのアプリダウンロード数が優に3000万を突破し、今でも大人気のソーシャルゲームアプリ『パズル&ドラゴンズ(通称:パズドラ)』だが、ここへ来てユーザーからの不満が大爆発する事件が発生している。それは、『ファイナル・ファンタジー・クリスタル・ディフェンダーズ(通称:FFCD)』とのコラボにおいて、コラボ専用のガチャに突如として登場した【曲芸士】という新キャラクター。
このキャラクターは、これまでのキャラクターよりも「圧倒的に“強過ぎる”」と言われるほどの強さであるが、パズドラを始めとしたソーシャルゲームアプリのガチャは多少のばらつきはあるが、概ねガチャ1回当たり300円〜500円ほどとなる。とりわけ、コラボガチャでのレアキャラは、1回で出る人もいれば、5万円〜10万円つぎ込んでも手に入らないことも十分あり得る。
そのコラボガチャで、完全にバランスブレイカーとも呼べるキャラクターが投入されたことで、それを引けた人と引けない人との間で論争が活発になっている。引けなかった多くの人からは「曲芸士は強すぎる!下方修正しろ!」という意見が出され、引けた人の中には「曲芸士持ってない人いるの?」などと煽るような人もいるようだ。
これに対して、本日公式から強すぎる新キャラクター【曲芸士】に対する告知が出された。
【パズル&ドラゴンズ】
「クリスタル・ディフェンダーズ」コラボにおける「曲芸士」スキルについて最終更新日:2015/02/27 12:00
掲載日:2015/02/27 12:00「クリスタル・ディフェンダーズ」コラボにおける「曲芸士」のリーダースキルについて、ユーザーの皆様よりたくさんのご意見を頂戴し誠にありがとうございます。
今回のコラボにおける「曲芸士」のリーダースキル実装について、当社の見解を以下にご説明いたします。
パズル&ドラゴンズは先日、ユーザー様のお蔭で3周年を迎えることができました。
当社では、長くプレイしていただいているユーザー様含め、全てのユーザーの皆様に、常に新鮮な気持ちでゲームをお楽しみいただけるよう、新たな要素や遊び方を提供し続けていく必要があると考えております。
今回、その一環として本リーダースキルの実装を決定いたしました。「曲芸士」のリーダースキルについては、現在のパズドラにおいて、強力な効果を持つものの一つではございますが、リーダースキルの発動や、ステータス・その他要因をチーム編成やモンスター育成、パズル等でカバーする必要があるなど、安定的に使用していくための難度は高く、様々な工夫が必要となってまいります。
また、今後のアップデートや新ダンジョン、新キャラクター等の実装を経て、パズドラでさらに幅広い遊び方ができるようになっていくことも考慮し、ゲームバランスに深刻な影響はないと判断しておりますため、本リーダースキル内容を下方修正することは予定しておりません。
なお、スキルなどの仕様につきましては、他のコラボキャラクターと同様に、他社様よりご意見をいただくこともございますが、総合的なゲームバランスを考慮し当社にて実装内容を決定しておりますこともあわせてご報告させていただきます。
ユーザーの皆様に長くお楽しみいただけるよう、一同、尽力してまいりますので、これからもパズル&ドラゴンズをよろしくお願いいたします。
公式の見解として、当該キャラクターの下方修正をしないのは当然のことだろうと思う。万が一そんなことをしてしまったなら、課金をしてまで引いたプレイヤーへの補填をどうするのか、コラボ元の企業との契約上の問題、ひいてはゲーム運営の方針をプレイヤーの意見に左右されて方向性がブレてしまうなどという様々な問題が発生してしまうことが容易に想像できる。
ここで問題になるのが、ソーシャルゲームアプリの大半は基本プレイ無料で、その収入の大部分は課金欲を煽るために既存のキャラクターを計画的に陳腐化するのが基本戦略なのだ。すなわち、収益を上げるためには、既存のキャラクターよりも強い新キャラクターを出し続け、ガチャを引くために課金をしてもらう。なお、それにスポンサーがついた場合には、スポンサーとの契約料に見合う収益を出すためにも、より一層その傾向は強くなっていき、インフレが加速していく。
このインフレが加速していくと、無課金の新規プレイヤーは、初期からプレイしていたプレイヤーや欲しいキャラクターが出るまでガチャを引ける課金プレイヤーとの差に辟易してゲームから離脱してしまい、最終的にはサービスが終了となってしまったゲームは多々ある。
課金プレイヤーも無課金プレイヤーも、同じようにゲームをプレイしている以上、その作品が好きなことには変わらないのだろうが、最終的に課金しているかどうかが勝敗を決するようなインフレではなく、緩やかなインフレを期待していたというのが今回の事件で多かった意見のようだ。
とはいえ、遅かれ早かれいずれはインフレが加速していくことはソーシャルゲームの特性も踏まえて考えると、既定路線だったのだろう。
パズドラの「一瞬てま崩壊」は、思わぬ形で現実化することとなり、関係企業を巻き込んで大きく炎上しているようだ。プレイヤー達から巻き上がった炎の柱が静まった頃、残るのは塵か灰か。今しばらく事件の顛末を見届けてみるのも、ゲームをプレイする以上に面白いかもしれない。