映画「ONE PIECE FILM GOLD」を観てきた感想をまとめてみました!ーボリューム感はしっかりと、脚本は「王道オブ王道」ー
“俺は、絶対に、諦めねぇぇぇっっっ!!”
7月23日公開の映画ワンピース「ONE PIECE FILM GOLD」を公開初日に観てきました。
当日は仕事で遅くなってしまったのですが、近くのイオンシネマでレイトショーの回を鑑賞。
遅い時間で普段はほとんど人もいないような映画館にも関わらず、多くのお客さんがいたのには驚きました。
白ひげと海軍大将の頂上決戦という最大のブームを過ぎた後でも、これだけ人気があることを考えると、ONE PIECE人気は不動のものようです。
映画レビューを書くときは、ネタバレ要素を含まないように意識していますが、少しでもネタバレが嫌いな方は、映画を観てからこの記事をお読みいただくようお願いします。
【公式トレーラー】(YouTube)「映画『ONE PIECE FILM GOLD』予告編」
【チェック】
世界的な人気と支持を集めている『ONE PIECE』シリーズの劇場版第13弾。独立国家グラン・テゾーロを訪れたルフィたちが、その支配者ギルド・テゾーロがたくらむ陰謀に立ち向かう。『ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット』に続いて原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを務め、田中真弓、中井和哉、岡村明美ら、おなじみのメンバーが結集する。めくるめく冒険と戦いの行方に加え、満島ひかり、濱田岳、菜々緒、北大路欣也といったゲスト声優の妙演も見どころ。
【ストーリー】
海賊王になることを夢見て、新世界を航海するモンキー・D・ルフィをはじめとする麦わらの一味。彼らは、世界最大のエンターテインメントシティである政府公認の独立国家、グラン・テゾーロを訪れる。世界に名をとどろかせる海賊や海兵、大富豪が集まる、その華やかな様子に圧倒されるルフィたち。そんなグラン・テゾーロを支配し、ばく大な金の力で世界政府をも操る黄金帝ギルド・テゾーロは、ある野望を抱いており……。
シネマトゥデイ 映画「ONE PIECE FILM GOLD」
評価★★★★☆(星4.5つ)
違和感のなく動き回る麦わらの一味
総合監督として、原作者である尾田栄一郎先生が手がけた本作。
原作者が総合監督として指揮をとっているだけあってか、映画内での麦わらの一味は、原作通りに準拠したセリフを口にし、一味内の関係性についても違和感なく表現されていました。
相も変わらずグラン・テゾーロ内部であっちこっちとせわしなく動き回るルフィ。
いざという時には真っ先に行動を起こすゾロ。
一攫千金を夢見て、目の形が「ベリー」一色になるナミ。
カジノの雰囲気に飲まれそうなウソップ。
サンジはいつものように美人を見ては鼻の下を伸ばしてナンパ。
ルフィとウソップにくっついていくチョッパー。
どっしりと構えて兄貴風を吹かすフランキー。
安定のネガティブ毒舌姉さんロビン。
見た目が骨すぎるブルック。
脚本に原作者が絡まない映画にありがちな「このキャラはこんなこと言わない」や「こんな行動は起こさない」というようなことが一切ありませんでした。
まさしく原作で動き回る通りの行動を起こし、同時にトラブルも起こし、物語が加速していきます。
麦わらの一味を始め、映画独自のキャラであるそれぞれのキャラクターにしっかりと個性があるため、観ていて飽きることなく楽しむことができます。
圧倒的なボリューム感でお腹いっぱい
今作は登場人物も多く、麦わらの一味に加え、独立国家国王であるギルド・テゾーロや幹部のカリーナ・タナカさん・バカラ・ダイスといった強敵が彼らを迎え撃ちます。
オープニング編・カジノ編・バトル編・進入編・決戦編など、1つの映画作品の中に、かなり多くのストーリーがふんだんに盛り込まれていて、いずれも手を抜いたような作りとなっていないことには驚きました。
一般的な原作がある漫画を映画化した時のような、「主人公たち VS 敵の一団」という単純構造ではなく、ONE PIECEの中に登場する多くのキャラクターを用いた第三勢力を盛り込み、自然な形で世界観を表現しています。
反対に言えば、原作を読んでいないと細かい部分を含めて完全に楽しむことは難しいかもしれませんが、メインストーリーだけ追いかければ、原作未読であっても十分楽しめる内容に仕上がっています。
僕の場合は本作を必ず観ると決めていたので、前売り券を購入していましたが、そうでなくても1800円(大人/一般)出す価値は十分あるように感じました。
それと、入場者特典として「ポストカード・ビジュアルブック・トランプ」がもらえます。
トランプはカジノつながりのプレゼントなのでしょうが、普通に考えて太っ腹すぎる気がします。
とくかくキャラクターたちがよく動き回る
一番びっくりしたのは、さすが映画作品だけあって、とにかくキャラクターたちがよく動きます。
毎週放送されているアニメ版ONE PIECEとは比にならないほどの原画が使われているのか、キャラクターも構図もぐるぐると大きくがっつり動きます。
目で追いかけるのが少し疲れるくらいなので、その辺は覚悟しておきましょう。
とはいえ、その分「臨場感」はかなりのもので、2Dで観たのにまるで3Dかのような視点でバトルが繰り広げられたりするため、観ていて満足度も高かったです。
CP0と革命軍、そして天竜人
第三勢力として、「CP0(サイファーポールナンバーゼロ)」と「革命軍」が登場。
メインストーリーに深く絡んで来ませんが、CP9編でお馴染みのスパンダムやロブ・ルッチといった懐かしのキャラクターや、サボ・ココアといった最近のキャラクターまで登場します。
天竜人はカジノの超VIPルームに宿泊している設定で、メインストーリーにも若干絡みます。
改めて考えると、サボが「メラメラの実」を食べてエースの能力を持つことになったのは大正解のように思います。
戦争編で死んだエースの代わりに、エースの能力を宿したサボがルフィを見守るという今の状況は、ファンにとっては背筋が震えるほど嬉しいものです。
ちなみに、CP0内でも考え方に衝突があるようで、相変わらずスパンダムとロブ・ルッチの間には主従の関係はないことがわかります。
世界政府、天竜人をも金の力で操る独立国家グラン・テゾーロに対し、独自の行動を起こすロブ・ルッチは以前の彼よりも一回り大きく成長したように感じました。
ギルド・テゾーロは「覚醒」した能力者
作中では明確に表現されなかった「ギルド・テゾーロの能力」について。
「金を操る」という設定から、“ロギア系では?”という意見もありますが、映画内の能力の使い方を見ると「パラミシア系」に分類されることがわかります。
体そのものを自然の一部に変化できるロギア系の能力とは異なり、ギルド・テゾーロは体から出した黄金を身に纏いながら戦います。
また、作中でもドフラミンゴ同様「覚醒した能力者」ということで、自分の周りにある金にも神経を伝達するかのように操ることができるようです。
そのため、同じパラミシアの能力者であるルフィの攻撃はしっかりと当たりますので、戦いそのものは激しい殴り合いとなります。
いずれはルフィのゴムゴムの実も「覚醒」段階に引き上がって、自分の身の回りの物質などをゴムに変えることができるようになるのかもしれません。
ストーリー自体は王道中の王道
映画の内容そのものは、「ザ・王道オブ王道」です。
物語前半に伏線やミスリードを巧妙に散りばめ、物語後半でしっかりと回収していきます。
そして恐らく、今作の本当の主人公は「ナミ」なのかもしれません。
イーストブルーで泥棒家業をしていた時に知り合ったというライバルとの確執と、その解決への道を紡いでいく物語。
観終わった後の後味はすっきりしたものなので、万人受けする構成となっています。
ただ、レイズ・マックスというギャンブラーキャラも出てきましたが、僕は少し苦手でした(ギャグが寒い)。
全体を通して評価すると、「圧倒的なボリューム感」「原作準拠のキャラクターたち」「第三勢力の暗躍」といったように、観る人が楽しむことができるよう丁寧に、一つずつの要素を意識して作り込まれた良い映画だったと思います。