【史上最低の無責任ヒーロー?】映画「デッドプール」を試写会で観てきたから感想をまとめるよーR15指定だけど、対象年齢はもう少し上かなー
“史上最低の無責任ヒーローがやってきた”
先日、地元の映画館にあった「デッドプール」の試写会に応募したら、無事当選したようなので早速観に行ってきました。内容としてはR15指定だけあって、若干グロテスクな部分と割と過激めな性描写が多かったことは否めません。
ある意味、より現実的で、より人間的な映画が好きな方には合っているかもしれませんが、反対にこうした生々しい表現が苦手な方にはあまりオススメはできない気がします。
【公式トレーラー】「映画『デッドプール』日本版予告編2」
【チェック】
『[リミット]』などのライアン・レイノルズを主演に迎え、マーベルコミックスの破天荒ヒーローを実写映画化したアクション。人体改造により人並み外れた治癒能力と不死身の体を手にした主人公が、ジョークを口にしつつ暴れまくる姿を描く。共演は『トランスポーター イグニション』などのエド・スクライン。現実世界とフィクションの境を越えて、観る者を自分の世界に引き込む風雲児の活躍に胸が高鳴る。
【ストーリー】
ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊の傭兵(ようへい)として活躍していたが、今は悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいる。すっかり正義のヒーロー気取りの彼は恋人との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。とある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受ける。
シネマトゥデイ 映画「デッドプール」
【評価】★★★★☆(星4つ)
※ただし、好みが分かれます。
ヒーローらしからぬヒーロー
マーブルヒーローズのX-MENといえば、ヒーローの中のヒーロー。
邪悪な敵に立ち向かい、無実な市民を守る。大義名分のためには、自分の命さえ惜しまず、献身的に善行の限りを尽くす。
、、、と思いきや、今作の主人公「デッドプール」は、こういったヒーローの概念を真っ向から否定。
ただただ、私怨のため。
ただただ、大好きな彼女のため。
行動の理由はこれだけ。
たったこれだけのために、身につけた不死身の肉体を盾に、2本の剣と大量の銃を使って敵をばったばたったとなぎ払っていきます。そんなデッドプールですが、そんな身の上になってしまった経緯を考えると、わからなくはないといった印象です。
善意とか、悪意とか、そういった感情で動くのではなく、自分の身に降りかかった災厄の元凶をとっ捕まえて、痛ぶって、反省させる(詳細は物語の核心部に影響するため割愛)ために動くデッドプールの姿に共感するか、嫌悪感を抱くかは、見る人によって様々かもしれません。
「型破りなヒーロー」としてみれば、実は「結構アリ」なんじゃないかなと思ってはいます。
魅せ方が秀逸
本作の描き方は、一般的なヒーローものの作品とは少し異なっています。
簡単に言えば、初っ端からボスに遭遇してドンパチを繰り広げ、なぜそうなったのかを紐解いていく構成となっています。
初めは“え?これが主人公?なんで?”と思いながら観ていると、“ああ、そうだね。デッドプールはそうでなくっちゃあ”と感じるようになるよう物語が進んでいきます。
現実でリアルタイムに起きているできごとと、過去に起きたできごとが綺麗に折重なりながら、観客の意識をひとつにまとめていくのはやはり緻密に計算された脚本に基づくものなのでしょう。
ただ、デッドプール本人のミュータントパワー(特殊能力)が「不死」と「治癒能力」であって、戦い方は以前所属していた特殊部隊の傭兵時代に身につけたものという設定であることは映画を通して理解することができますが、惜しむらくは傭兵時代の努力というか実力が垣間見れるシーンがあるとより感情移入ができたように思います。
人間の「欲」を強く前面に押し出す
全体的に多数の性描写シーンや暴力シーンが含まれていて、観る人によってこの映画の評価は大きくわかれるかもしれません。ただ映画「デッドプール」という作品を通して垣間見れる「人間の欲」を一つの大きなテーマとして捉えた時に、人間らしさとは何かを考えさせてくれるように感じました。
人からヒーローと言われようと一人の人間である以上、ムカつくことには「怒り」、やられたら「復讐」し、鬱憤が溜まったら「発散」しようとするのかもしれません。一般的なヒーローアニメやヒーロー映画などでは「善人」の部分しか描写されることはありませんが、この映画ではそういった人間の人間的な人間らしさが前面に押し出されていて、“本当の意味でヒーローで在り続けるのは難しいのだろうな”という思いでいっぱいになります。
主に描写されるデッドプールの欲求としては「復讐したい」と「性欲を発散したい」の2点。
反対に言えば、この2つの欲求だけで2時間近い映画が生まれるのですから、本当人間の「欲」はすごいですね。
「仲間」というよりは「利害の一致」
正確に言えば、デッドプール本人は「ヒーロー」ではなく、「ヒーローになるよう勧誘されている超人」でしかありません。
そんな彼をヒーローになるよう誘うのは、X-MENのコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドの2人。
コロッサスは過去「X-MEN2」「X-MEN:ファイナル・ディシジョン」「X-MEN:フューチャー&パスト」などにも出演していて、ある種X-MEN映画の常連的な存在です。そんな彼のミュータントパワーは「全身を生体金属コーティングできる」というもので、ミュータントパワー発動時はハルクやシーハルクにも匹敵する怪力自慢となります。
そんなコロッサスは、デッドプールが自らの目的のために余りにも残酷な「復讐」を繰り返す姿を見かねて、“やりすぎだ”と言って諌めようとします。それでも言うことを聞こうとしないデッドプールに対して、強行作戦を行使することも。
一方、若手のミュータントであるネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドは、コミックスでは「予知能力」と「テレパシー能力」を有している設定だが、映画内では「体から炎を吹き出す」という設定に変わっている模様。
若手故か、デッドプールの口の悪さや卑猥な言葉に眉をひそめて嫌悪感を露わにします。ただ、一緒にいるコロッサスがデッドプールをX-MENに勧誘しようとしているため、行動をともにする優しい一面もあるようです。
ただ、「仲間の絆」といった情緒的な理由ではなく、あくまでも「利害の一致」で最終的に行動を共にする3人。
それぞれの思いが交錯する中で、デッドプールが取る行動の結末はとても心温まる?ものとなるのでしょうか。
この映画を観るにあたって
何度も言って申し訳ないくらい繰り返しますが、この映画は決して「万人受け」はしません。
グロテスクなシーンも、性描写も、主人公の悪行もたくさん描かれています。
主人公であるデッドプールを「イイヒト(正統派ヒーロー)」ではなく、「ワルイヒト(アンチヒーロー)」に近い位置づけで見た上で、軽いノリを「ハハッ!」っと笑い飛ばせるメンタルの方は結構楽しめると思います。
ただ、“ヒーローは人助けをするものだ!”という固定観念に縛られている方などは観終わった後に複雑な気持ちになる可能性が高いでしょう。
なので、この映画を観る際は「あくまでもフィクション」であって、「こんなヒーローもいなくはないかもしれないね」と軽い気持ちで観に行くことをオススメします。
こんなフィギュアもありました。かっこいい方も可愛い方もちょっと欲しくなりそうです。