【困っている人必見】「質問力」を持たない人の行動パターンと思考を知るーポイントは「論理型人間」か「感情型人間」かを見極めることー
僕は現在、大学内の施設・設備及び学内システム全般に関する業務を担当しています。
使い方がそれほど複雑ではない備品類なら誰でも何も考えず使うことができますが、パソコンや少し高度な機器類、そしてシステム関連をいじる際には、当然「マニュアル」や「取扱説明書」を読まなければいけない場面も多々有ります。
反対に言えば、「マニュアル」や「取扱説明書」を読むことで、大概の操作は問題なくできたりします。
しかしながら、「ほんのすこし分からないこと」があると、とにかく「知っていそうな人」に聞こうとする御仁方が一定数(大多数)いるのが大学業界の不思議なところ。
こうした人の特徴について、実際の事例を基に考えていきたいと思います。
【事例紹介】
これは、実際に僕が体験した事例です。
・「PCが故障した!」
→見に行くと、電源ケーブルが抜けていただけ。電源を挿して解決。
・「システムの画面が出ない!」
→ログインID・パスワードを失念していただけ。改めてID・パスワードを伝えて解決。
・「プリンターに簡単には直せないトラブルが発生した!」
→ただの紙詰まり。詰まりを除去して20秒ほどで解決。
・「プロジェクターが表示されない!」
→再起動することで問題なく点灯し、解決。
・「Wordの表示がおかしい!」
→教員が配布した元データの設定に問題があった。改めてファイルを作り直すよう伝えて解決。
・「無線LANにつながらない!」
→そもそも設定すらトライしていなかった。設定を行い解決。
・「PCに変な表示が出る!」
→フィッシング詐欺・スパイウェア・マルウェア合併症に罹患。ウィウルバスター等のフルスキャンで解決。
・「デジカメの使い方がわからない!」
→電源を入れて撮影ボタンを押すだけ。「説明書読みなさい」で解決。
上で紹介したのは、僕が体験した「分からないさん」の質問の極々一部に過ぎません。
基本的な操作レベルの話やそもそも説明書を読めば解決する案件まで含めたら、これを遥かに超える質問が「分からないさん」から寄せられています。
なお、これらの質問は全て「大学教員」からのものです。
世間一般では、「大学教員は何でも知っていて、何でもできる」と思われている節もあるかもしれませんが、これが実態です。
パソコンやAV設備、システムについては僕が事前に作成して教室内に置いておいたマニュアルを見た学生の方がよっぽど器用に扱っています。
一方で、僕に質問をすることなく「自分で考え、自分で解決する人」も実際に存在します。
こうした人を僕は「自己解決さん」として捉えています。
“一体、「分からないさん」と「自己解決さん」はどこに違いがあるのだろう”
そんな風に考えながら様子をつぶさに見ていて、その人が「感情型人間」であるか、「論理型人間」であるかによって変化してくることがわかってきました。
「分からないさん」は「感情型人間」
学内に存在する多くの「分からないさん」たちは、一様に「半ギレ」の状態で問い合わせをしてきます。
その際、「故障した!」「できない!」「わからない!」といったカタコトの言語を発しながら喚き散らす傾向にあるようです。
「分からないさん」は自ら調べたり、トライアンドエラーで改善を試みようとすることはなく、まずは「他人任せ」なのです。
“私がやりたい通りに動いてくれない!故障だ、トラブルだ、コレがオカシイんだ!”
こうした感情ありきの発想により、他にも仕事のある忙しい人を捕まえては、ケーブル抜け・電源ボタン押し等を依頼したりしている。
こうした人は、感情を行動の原動力としているため、「感情型人間」に分類できます。
「感情型人間」の行動パターンとしては、“こういう風に動いて欲しい”という思考が先行しているようです。
機械やシステムは、(少なくとも2016年時点では)イメージコントロールのような機能が付与された端末は皆無であるため、“こういう風に動作させるためにはどのように操作するか”という思考で考える必要があります。
こうした人が半ギレ状態で問い合わせをしてきた時には、“それは大変でしたね、とりあえず状態を見せてください”とだけ言って実際に現場を見に行く方がよっぽど無駄なく対応することができます。
勢いに押されないように、どっしりとした態度で回答をするとなおスムーズにことが進みますので、「分からないさん」への対処に困った時には試してみてください。
「自己解決さん」は「論理型人間」
一方で、人に聞くことなく自らマニュアルや取扱説明書を読んで、トラブルを解決してしまう「自己解決さん」もいます。こうした「自己解決さん」でさえも解決できないトラブルで呼び出された時は、大抵本当に深刻なトラブルであるか、システム上のエラーであることが多いです。
大学における「自己解決さん」と話してみると、皆さん一様に「論理的」にトラブル内容や問題点を見極め、的確な改善策の提案をしてきます。
これぞまさに「論理型人間」と言うべき人の傾向なのだと驚かされます。
トラブル発生の際に、どういった操作をしたのかを問えば、
“まずはじめに◯◯を立ち上げ、◯のボタンをクリックしたら、△△といった表示が表示されました。もしかしたら、□□に問題があったのでしょうか?”
というように、上のような簡潔かつ明確な回答が返ってきます。
「自己解決さん」は、機械やシステムをしっかりと理解した上で、「自分のモノとしている」点が「分からないさん」と大きく違う点なのです。
「分からないさん」の本音は「興味がないから」
それでは、「分からないさん」と「自己解決さん」は同じ人間なのに、どこに違いがあるのでしょうか。
それは「興味関心の幅」にあると言えます。
昔から『好きこそ物の上手なれ』という諺があります。
明確に「好き」という段階ではなくとも、「興味関心がある分野」であったり「興味関心の広い人」であれば、大抵の物事の構造や概念は理解することができます。
「分からないさん」は何が足りないかというと、この「興味関心」なのです。
(仕事で扱うにも関わらず)機械やシステムに対して興味・関心がない(持てない)のは根本的に別の問題があることは一旦置いておきます。
それでも、「分からないさん」はトラブルの原因や対策について、どれだけ丁寧に説明しても聞いているフリをしているだけで、全く頭には入っていません。
一言で言えば、「過程はどうでもいい」なのです。
そんな空気を感じたら、とにかく話は早々に切り上げて、“とにもかくにも直りました。良かったですね”とだけ言って去ることをオススメします。
問題は「質問力」にある
あなたが問い合わせを受けた時に、「論理的」に説明ができないで「感情的」にトラブル報告をするタイプの人は、間違いなく「分からないさん」であると考えましょう。
相手が「分からないさん」である場合には、問い合わせの次にまずやってくることは「感情を露わにして憤る」です。
相手が次に起こす行動が事前に分かっていれば、こちらの対応は至極簡単になります。
状況のヒアリングはそこそこにして、早々にこう言い放ちましょう。
“とりあえず落ち着いてください。状況を見させてもらってから対応します”
「分からないさん」に状況説明を求めたところで、そもそも「興味・関心」がないため、どういった経緯によって何が起きているのかなど、本人にはわからないのです。
そうした人は“このトラブルを解決するにはどうしたらいいですか”といったごく一般的な「質問」をすることはできません。
頭の中にあるのは「動かないのはこの機械・システムが悪いから」の一点であるためです。
“何か変な表示が出た”
“何もしてないけどいつもと違う画面になった”
“何もしてないのに機械が故障した”
これでは、トラブル報告としては全く的を得ていません。
ただ、この一言で分かるのは、このような質問をする人は「分からないさん」であるということ。
本人の成長に期待するのではなく、素直に諦めて対応した方が精神衛生上良かったりもしますので、一つの目安として考えてほしいと思います。