「アダルトチルドレン」という言葉の誤用と傾向について調べてみたーいわゆる“子どもっぽい大人”のことではないんだってさー

“大人なのに子どもっぽいのか、子どもっぽい大人なのか”

823354828_92f8e410ca_o photo credit: IMGP8875-cropped via photopin (license)

どうも、七色たいよう(@nanairotaiyo)です。

「アダルトチルドレン」という言葉を聞いたことはありますか?

多くのマスコミでは、“子どものような大人”として取り上げられる言葉。

しかし、本当の意味はだいぶ異なるようです。

 

【アダルトチルドレン】

一般には、「親からの虐待」「アルコール依存症の親がいる家庭」「家庭問題を持つ家族の下」で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷(トラウマ)として残っている人をいう。破滅的、完璧主義、対人関係が不得意といった特徴があり、成人後も無意識裏に実生活や人間関係の構築に、深刻な影響を及ぼしている。信田さよ子によれば、ACは自己認知の問題であり、診断的に与えられる言葉ではない。
語の発祥は「Adult Children of Alcoholics(アルコール依存症の親の元で育ち、成人した人々)」であった。この言葉は、1970年代、アメリカの社会福祉援助などケースワークの現場の人たちが、自分達の経験から得た知識により作り出したものであり、学術的な言葉ではなかった。その後、アメリカのソーシャルワーカー、クラウディア・ブラックの研究により、単にアルコール依存症の親の元で育った子どもだけでなく、機能不全家庭で育つ子どもが特徴的な行動、思考、認知を持つと指摘された。

(Wikipedia「アダルトチルドレン」より引用)

 

この定義を基に考えると、本来の「アダルトチルドレン」という概念は、“誰かに自分自身をはっきりと認識してほしい/認められたい”という自己認知における問題を指すようです。

 

一般的な家庭で、何不自由無く育ってきた人にとっては、親からの干渉は苦痛以外の何者でもないでしょう。

 

一方、アダルトチルドレンの傾向を持つ人にとっては、“自分を正面から見て、評価してくれること”が何よりも大きな価値を持つのです。

 

その症例には「子ども時代の親に対する不信感」「他人に自分を認めてほしい欲求」「自身の心の幼さに対する葛藤」に至るまで、その範囲は幅広い。

 

【参考】アダルトチルドレンの事例集

 

共通することは、「自分が育ってきた家庭環境への不満」をベースとした「物事が自分の思い通りにいかないフラストレーション」なのです。

 

終身雇用制の廃止や雇用環境の悪化、核家族化や格差社会の拡大といった問題がひしめく現代社会では、昔ながらの「他の人と同じような幸せな家庭環境」はだいぶ減ったように思います。

 

 

育ってきた環境にだけ目を向けるのは止めて、これからの自分の人生を自ら切り開いていくことに注力していく方がきっとこの先を楽しめます。

 

確かに、生まれる家庭を選ぶことは誰にもできません。

 

しかし、その後に関わる環境を選び、自分の成長に役立つ人間関係を構築することは誰にだってチャンスはあるのです。

 

問題の本質は、「与えられた不満のある環境を、自ら変えていく努力をできるかどうか」です。

 

Aqua Timezの【決意の朝に】という歌の中で、“与えられないで泣くのではなく、自分の足で立って歩こう”という意味が込められた歌詞があります。

 

ちなみに、一般に「アダルトチルドレン」と言われる症状を持つ人の代表的な特徴を探してみました。

 

【アダルトチルドレンの特徴】

1.マスコット(ピエロ、クラウン)

外面 – 過度にかわいく子どもっぽい、

    家族の笑いと関心の対象、か弱くて保護を必要とする
内面 – 自己評価が低い、恐れ、孤独、無力感
言動 – ふざけ、ユーモア
弱点 – ひょうきん、ストレス処理が下手、いつもヒステリー寸前
長所 – 人あたりがいい、良き友人となる、頭の回転が速い、ユーモアのセンスがある、有能
 
2.ヒーロー
外面 – 小さな親、小さな大人、生真面目、努力家
内面 – 心の傷、不適応感、罪悪感、過剰な自尊心
言動 – 他者に自分の評価を押し付け尊敬を得ようとする
弱点 – 仕事依存、依存的な人と結婚、人を支配し操作、完全主義
長所 – 自身の失敗を許容、自己に厳しく他者に寛大、管理職の適性
 
3.スケープ・ゴート
外面 – 反抗的、陰気、反感を買う行動、張り合わない
内面 – 心の傷、見捨てられ感、怒り、拒絶、不適応感、低い自己評価
言動 – 問題を起こし注目を集める、自虐自傷自罰行為、自暴自棄
弱点 – アルコール等依存傾向、問題児、年少妊娠や犯罪の傾向
長所 – 現実の直視、立ち直る勇気、人を助ける力
 
4.ロスト・ワン
外面 – 顔を見なくても誰も気にしない、無口で陰気
内面 – 孤独、傷つき、見捨てられ、恐れ、あきらめ、挫折感
言動 – 少なくとも手がかからない、心配させないという意味では良い子
弱点 – 優柔不断、孤独、「NO」と言えない、行き当たりばったり
長所 – 自立している、才能豊かで創造的、はっきりしていて決断力に富む

 

アダルトチルドレン心理テスト
http://psycho.emc-a.com/psycho/20001_ac.html

 

“あ!当てはまってる!”と考える前にご注意。

 

このような特性は、アダルトチルドレンでないごく一般の人にだって当てはまるものばかりです。

 

血液型占い同様、誰にでも当てはまることをさも言い当てているような「バーナム効果」という心理学の一種で、よく用いられますしょうれませんま手法です。

 

少し悩んだ時に、“僕も社会生活上で生きづらさを感じるし、家庭環境も円満ではなかったような…もしかしたらアダルトチルドレンかも…”などと考えてしまいがちです。

 

最終的には、「自分がアダルトチルドレンであると認識しかどうか」で決まるそう。

 

もちろんこのような特性を持つ方が一定数いて、過去のトラウマに心を縛られ、人と関わる上で障害になっていることも充分に理解できます。

 

同時に、同じような(またはそれ以上に)辛い過去を持ちつつも、自分の未来に向かって必死に生きている人もいることも事実なのです。

 

同じような悩みを抱えている人同士が集まって相互理解を深めていくことや、目標とする人を見つけて一歩ずつ前に進んでいく方がよっぽど堅実的で、現実的だと思います。

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