『アルゴリズムが世界を支配する』とはどういうことかー機械が人間を超える日はいつ来るの?ー

”彼らは観察し、実験し、そして学ぶことができるのだ”
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どうも、七色たいよう(@nanairotaiyo)です。

最近、角川EPUBの『アルゴリズムが世界を支配する』を読了しました。

実用書でも、ビジネス書でも、小説でもなく、本当になんとなくタイトルが気になってしまったので、興味本位で購入してみました。

 

本書の要点は大きく以下の2点。

「アルゴリズムによって生み出されたbotが、これからの世界の在り方を変えていくだろう」

「そのアルゴリズムを作り出せる能力が、これからの百年を支配するためのスキルだ」

 

確かに、コンピュータを使いこなせることは日本語を話せることと同じようにありふれた日常の一動作に過ぎなくなりつつあります。

 

今後はアリゴリズムを作り出せる人が重宝されることになるということは否定の余地がありません。

 

本書で気になった部分をいくつか引用して、『アルゴリズムが世界を支配する』という考え方について考察をしてみたいと思います。

 

これから百年を支配するためのスキル

「人間を模倣し、徐々に人間に取って代わっていくようなアルゴリズムを作り出せる能力が、これからの百年を支配するためのスキルだ。この能力を持つ人が増えれば増えるほど、仕事はなくなり、 人生は今までとは異なるものになり、産業は生まれ変わることを余儀なくされるだろう。」

今では当たり前のように自宅にコンピュータがあり、手元にはスマートフォンやタブレット端末があります。

 

インターネットにつながる環境も、プログラミングや作曲、イラスト制作や小説を書くことなどが容易にできる上に、それらを無料で世界に向けて配信することもできてしまいます。

プログラミングによってアルゴリズムを作り出すことも、これから先は多くの人が当たり前のようにできるようになる時代が来るのかもしれません。

 

ただし、必ずしもみんながみんな同じ能力を持つ必要はないと僕は感じています。

アルゴリズムによって、大量の情報は瞬時に収集・分析され、パターン化・カテゴライズされていきます。

 

そうして出来上がったデータを基に意思決定までアルゴリズムで対応可能な分野であれば、その力は大いに真価を発揮するでしょう。

 

アルゴリズムで絵画を描くことや、新しいイラストやストーリーを生み出すことはできないように、『新しい価値を生み出す力』こそ人間に備わる素晴らしい才能なのだと信じています。

 

アルゴリズムが人間に指図

このアルゴリズムを使ってオプション取引をはじめたのだ 。そしてこのアルゴリズムは利益を出した 。オプション市場はまだ現代のような巨大マーケットではなかったため巨額の儲けを出すことはできなかったが 、モカッタのトレーダーにとっては他を大きく引き離すことができるツ ールとなった 。フロアにいるモカッタのトレーダーたちのほとんどは 、取引注文がどこから来るのか知らなかった 。ただ 、その取引がほぼ常に儲かるということを知っているだけだった 。これがアルゴリズム ・テークオーバーのフェーズ ・ワンだ 。人間が書いたアルゴリズムを搭載したコンピュータが 、与えられた情報を分析して 、人間に指図をするようになったのだ 。

これにはかなり深く同意をするところがありました。

 

「人間がコンピュータを操作してアルゴリズムを作っていた」はずが、気づくと「作られたアルゴリズムによって人間が操作される」という逆説的な現象が発生する可能性は大いにあります。

 

とりわけ、アルゴリズムを維持するために人間が大挙してそのアルゴリズムが正常に機能するようプログラミングをし続けている姿こそが現代の人間とコンピュータ及びアルゴリズムとの関係を端的に表すことのできるひとつの表現かもしれません。

 

例えるなら、映画マトリックスの世界で、人間が巨大なコンピュータのバッテリーのような扱いを受ける世界でしょうか。

 

重要な意思決定の場において、アルゴリズムによって弾き出されたデータを参考に判断を下すうちは、「人間中心の世界」と言えます。

 

しかし、アルゴリズムによって弾き出されたデータを丸ごと信用し、あたかも自らの判断であるかのように意思決定をし始めたらそれはもう「機械中心の世界」となってしまいます。

 

『フラッシュ・クラッシュ』という弊害

アルゴリズムは 、通常はプログラムされた通りに行動する 。おとなしく株の取引をしたり 、 Amazon.comでは需要と供給に見合った本の値付けをしたりしている 。しかしいったん人間の目が行き届かなくなると 、アルゴリズムは不思議な行動をとってしまうことがある 。私たちが世の中の多くの物事をアルゴリズムの管理下に置けば置くほど 、何かが起きたときにその原因が誰なのか 、何なのか 、突きとめることは難しくなる 。この現実はじわじわと私たちの住む世界を侵食し 、ついにフラッシュ ・クラッシュという形で爆発したのだ 。

 

株や為替の世界においても、当然のようにアルゴリズムは存在しています。

 

むしろ、アルゴリズムによって自動売買をするシステムトレードという手法もトレード手段の一つとして一定の地位を得ているそう。

 

ここで言われるように、大量の異なるアルゴリズムによって監視されたマーケットにおいて、ひとたび人間の目が届かない環境に陥ると途端に制御不能となるという恐ろしさが内在しているのです。

 

自動化されるということは、誰かが(または何かが)行き過ぎた動きであるという異変に気づかない限り、際限なくその方向に進んで行ってしまいます。

 

その結果が、2010年に発生した『フラッシュ・クラッシュ』と呼ばれるマーケットで暗躍しているアルゴリズムの異常でした。

 

アルゴリズムを学ぶ環境

今では若いうちからプログラミングを学ぶための様々な方法がある 。ウェブ上には 、プログラムとアルゴリズム作成のためだけに立ち上げられたコミュニティやチャットルームが無数にある 。私と同様Yコンビネータで起業した Codecademyという会社のアイデア (オンラインでプログラミングを学べるサイト )は 、ウェブサイトをオ ープンしてから一週間でユ ーザ ー数二十万人を突破するほどの人気となり 、半年後にはコンピュータ・プログラミングを促進するためホワイトハウスと連携するまでに成長した 。これが私たちが住む世界の新しい現実だ ─ ─複雑なアルゴリズムを考えだす能力のある二十一歳の若者が 、アメリカ大統領とパートナーシップを組むことができてしまう世界 。

 

時々思うのが、僕らが生きているいまの三次元の世界に対し、時間と空間を瞬時に飛び越えて情報のやりとりをすることのできるコンピュータ(インターネット)という四次元に近い世界を組み合わせることで生まれる三.五次元の世界こそが、これからの新しい世界になるだろうということです。

 

年齢も、身分も、肌の色も、目の色も、国境さえも一瞬で飛び越え、世界中のありとあらゆる人と人をつなぐことのできるインターネットによって、世界中で作り出され産声をあげた多くのアルゴリズムは進化を繰り返しながら、人間を支配していくのでしょうか。

 

それとも、人間がアルゴリズムを支配して、世界の発展につなげていくのでしょうか。

 

いずれにしても、日本語でも、英語でも、他の外国語でもなく、プログラミングという新しい言語を用いてアルゴリズムを作り出せるスキルがこれから先様々な分野で求められることになるのを想像することはそう難しくはありません。

 

世界が変わりつつある中、何となく毎日を過ごしてもいいけれど、自分なりに学び続ける中で、『何かを作り出す力』を身に付けるために『学び、失敗し、作り、成功する』ことに力を注いでいきたいと思います。

 

人間を分類するアルゴリズム

そんな事態を避けるため、彼はケーラーの手法を熱心に学んだ 。ケーラーのシステムは、人間を以下の六タイプに分類する(電話での会話を盗聴して相手の性格を分類する修正版のボットも基本的には同じだ  。

1 .感情重視型の人課題に取りかかる前に、関係者と人間関係を築き、相手のことを知ろうとする。女性がこのグループの四分の三を占める。全人口の三十 %がこのグループに分類される。窮地に陥ると、このグル ープの人間は劇的になり、過剰反応を起こす 。

2 .思考重視型の人このグループは、社交辞令や冗談を言わず、現実を重要視する傾向にある。意思決定は厳格な現実主義に基づいて行われる。プレッシャ ーのなかでは、ユ ーモアを示さず融通がきかなくなり、支配的になる傾向がある 。

3 .行動重視型の人中古車のセールスマンの大半は、このグループに入るだろう。たとえわずかであれ、進歩や行動を望んでいる。常に精力的で、押しが強く、うまい話はないかとアンテナを張っている。このグループは魅力的な人間が多い。プレッシャーにさらされると、理性を失い、衝動的かつ報復的な行動をとる傾向がある。

4 .内省重視型の人このグル ープは穏和で想像力が豊かである。すでに起こっている現実に取り組むよりも、これからどうなるだろうかと考えをめぐらせる場合が多い。何かに興味を覚えるとまわりが見えなくなり、何時間でもその世界に没頭することがある。しかしながら、没頭することで得た知識を現実世界で活用することは苦手である。

5 .意見重視型の人このグループが話す言葉は、命令形と断定形が多い。状況の一面しか見ない傾向があり、証拠をつきつけられ反論されても自分の意見に固執する。政治家の七十 %以上は意見重視型であるが、このグル ープは全人口のたった十 %でしかない。このグループに属する人は勤勉であり、問題が解決するまで粘り強く努力を続ける。プレッシャーがかかる局面では、批判的で疑い深く、傷つきやすい彼らの意見は弱点となり得る。

6 .リアクション重視型の人ケーラーはこのグループを「反発者」と呼んだが 、現代のスタンダード ─ ─パーソナリティ判定ボットもこのスタンダードに基づいて構築されている ─ ─ではリアクション重視型と呼ばれる 。このグル ープは自発的 、独創的で 、いたずらや冗談が好きである。「それいいね!」や 「むかつく!」など、物事に対して強い反応を示す。起業家、発明家の多くはこのグループから生まれている。プレッシャーを感じた際には、頑固でネガティブになり、批判的になる 。

 

『1970年半ばのある特殊な任務において、船内の宇宙飛行士2名が血液サンプル採取の際に取っ組み合いの喧嘩が勃発した』という事件に基づき、NASAは上のようなケーラーのシステムを導入しました。

 

ここからも、人間の特性はしっかりとパターン化され、カテゴライズされることで、それらの最適な組み合わせを選択するための指標とすることが可能となるそうです。

 

とりわけ、宇宙飛行士の選定といったような場合には、応募書類から各種検査結果を瞬時に判別するアルゴリズムが非常に有用となることは間違いありません。

 

ロジック展開こそが本質的な人間性を表す

人の本質的なパーソナリティが変わるケースはめったにない。長期にわたって虐待やストレスを受けた場合には例外的に変わることもあるが、あくまでも例外だ。年齢を重ねるにつれ、ボキャブラリーは多様化し複雑に増えていくが、我々の話し方 ─ ─文章の組み立て方 ─ ─は変わらない。その組み立て方こそが、人がどのようにロジック展開をするか、プレッシャーのなかでどのように行動するかについて、驚くほどたくさんの手がかりを与えてくれる。

僕は以前から、「話し方(ロジック展開)」と「ボキャブラリーこそがその人の『人間性を判断する基準』として有用だと感じています。

 

同じ内容を、別の人が伝えようとしても、そこにはロジック展開やボキャブラリーによる差異が生まれます。

始まりは小さな差異に過ぎなかったものが、次第に大きな亀裂を生み、挙げ句の果てにはコンテクストそのものを変えてしまう可能性が大いにあるのです。

 

とりわけ、その人の人間性を判断するときには、「相手の立場や気持ち」を考えた上での発言ができるかどうかを重要視しています。

 

「Hal」を目指して自ら進化していく

一九六八年の映画 『二〇〇一年宇宙の旅 』に出てくる人工知能コンピュ ータ 、 Hal(ハル九〇〇〇 (Heuristicallyprograed Algorithmicompterから名付けられた )ほど賢くもないし自己認識もないかもしれないが、アルゴリズムは自分で進化することができる。

 

いずれにせよ、SF映画に出てくるような「自律志向型ロボット」というのは、このままアルゴリズムの発展が順調に続いていけばいくほどそう遠くない未来に完成するでしょう。

 

少なくとも、コンピュータを使って人間の生活が豊かになるようなアルゴリズムを作ることから、アルゴリズムが独立して判断・意思決定・創作までもできるよう人間を使ってコンピュータがアルゴリズムを作り出す世界に変わりつつあるように感じます。

 

世界が見えないところで変わっていく中で、アルゴリズムを作ることができるかどうかはわかりません。

 

それでも、これからの時代を生き抜くために、プログラミングを「新しい言語」として『読み解ける力』は必要になってくるでしょう。

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