【どうなっちゃうの?】原油安が止まらないー猿酉騒ぐ相場とはこのことかー

“原油安の底値が見えない”

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「世界経済先行き不安」という最もらしい言い方がある。

2008年頃に原油価格が延々と上がり続け、最終的には1バレル140ドルにも達した時期があった。一旦上値をつけ終わった後に、反転して一気に1バレル40ドルにまで下落し、ここ数年で株価や為替と同じように徐々に右肩上がりに成長を続けていた。

そもそも、原油価格が右肩上がりに変化した理由としては、中国経済の成長にある。中国経済の経済成長率について改めて見てみたところ、概ね毎年平均10%前後の成長を続けてきていた。ただ、2015年の経済成長率は6.81%にまで減少し、同時にPM2.5による大気汚染や食品偽装問題といった度重なる問題が後押しとなっている様子。

 

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《参考》世界経済のネタ帳「中国の経済成長率の推移」

 

【現代ビジネス】「中国「大気汚染」の本当の話〜募る苛立ち、肺がん死亡率も急上昇

PM2.5、初の「レッド警報」発令!」

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PM2.5の恐怖が、再び首都北京を覆っている。12月8日から10日まで、初めて「レッド警報」が出されたのだ。よほどの急用がない限り外出を自粛しろ、という最高レベルの警報である。

実際、12月9日に復旦大学公共衛生学院の研究とされるレポートが、中国のインターネット上にアップされた。そこには、真っ白な「健康な肺」と、真っ黒な「PM2.5に汚染された肺」の写真が掲げられていて、次のように記されていた。

〈 144時間、PM2.5に汚染された肺は、肺胞が黒く犯されるだけでなく、肺の上皮の細胞膜の通気性と流動性に影響が出る。細胞内部の物質が漏出し、死に至る。その際、肺がんに罹患するリスクは非常に高い。

中国では毎年、312万人もがんで死亡しており、第一位が肺がんだ。過去30年で肺がんの死亡率は465%も上昇していて、肝臓がんに代わって、中国人の国民病となっている 〉

だがこの警告情報は、アップされて瞬く間に、ネット警察によって削除されてしまった。以後は開いても、「この内容は規則違反により閲覧できない」という注意書きしか出てこない。

しかし、OPECはこうした中国経済の問題に目を向けず、今後も同様の経済成長をすることを期待して原油の供給を続けてきた結果、【中国経済成長の鈍化×OPEC原油過剰供給】のダブルパンチにより、今回の原油安が起こるべくして起こったとも言えるのだろう。

大抵の場合、「バブル」というのは、弾けてみてから気づく。今回の場合も、言ってみれば、いわゆる「人民元バブル」と言っても過言ではなかったのかもしれない。そんなタイミングに、2015年12月のアメリカFOMCによる米ドルの利上げ強行。こうなってしまったら機関投資家だけでなく、ヘッジファンドにとっても格好のチャンスとなり、まさしく「売りが売りを呼ぶ」展開となっている。

原油安が止まるためには、こうした需要サイド(中国経済)の問題だけでなく、供給サイドの問題(OPEC)の解消と同時に、アメリカによるシェールオイルの減産といった複雑に絡み合う様々な要素を一つずつ丁寧に解決して初めて底に達することになるのだろう。

とはいえ、「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場の格言にもあるようにテレビニュースなどでやれ「相場の下攻めが止まらない」だの、「まだまだ下がり続ける」と言われ始めたらそれが底値近辺だったりもする。一番良いのは、冷静に、客観的な視点で今後の方向性を判断することだと思う。

他人のポジショントークに惑わされず、自分なりの論点を整理して、今後の世界経済の方向性を見極めていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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