iPad proの大きさが想像以上に“ヤバい!!”ー実際にどんな用途で使えるのか考えてみようと思うー
“iPad Proの大きさ、想像以上にヤバい。”
最近、新型のiPadが登場した。
その名も「iPad Pro」という12.9インチの超大型タブレット。
多くのユーザーが「ビジネス用に使えるかもしれない!?」と購入検討をしている最中、いたって冷静な僕。iPad Proの購入に悩んでいる人は、一度このエントリを読みきってから、「何のために買うのか」をじっくりと考えてから購入検討に入って欲しい。
そもそもiPad Proとは?
まず、改めてこのiPad Proについて整理してみよう。
【Apple公式サイト「iPad Pro」より】
iPadはいつも、比類なくシンプルでありながら夢中になれる体験をもたらしてきました。広大な12.9インチのRetinaディスプレイ、iPad Air 2のほぼ2倍近いCPUパフォーマンス、洗練されたMulti-Touchテクノロジー。数々の新たな力を手に入れたiPad Proが、その体験を別の次元へ連れて行きます。単に大きくなっただけではありません。あなたの創造力や作業の効率を、まったく新しいスケールで高めることができるiPadです。
従来のiPadやiPad miniに比べて、様々な変更点が加わっている。目立ったところで言えば、以下の6点。
・560万ピクセルのRatinaディスプレイ
・4スピーカーオーディオ(4隅にオーディオ)
・スマートキーボードがとても薄い
・A9Xチップ搭載(iPad Air2の約1.5〜2倍)でサクサク動く
・本体が大きく、細かい操作ができる
・マルチタスキングが可能
公式サイトを眺めていて、ポイントになりそうなIPad Pro特有の利点はそれほど多くは無かった。
僕はまだ実際に購入をしてみたわけではないので、使用感がわからない。実際にヨドバシカメラなどの店頭で触れることができるのは、店側が用意した”無難な”アプリのみだったため、購入している方のレビューや感想などを参照してみたところ、iPad Proの用途が具体的に浮かび上がってきた。
実際にお店で触ってきた
公式サイトの紹介だけではどうにもその大きさはわからない。そこで、実際に近くの実店舗でiPad Proの実機を触ってみることにした。第一印象は、、、
“巨大…”
近くにあったiPad mini4とのサイズ比較。一見するだけでも、大人と子供くらいの違いがある。当然ながら、iPad Proの重量は、miniの約2倍。片手で持ってみると、結構ずっしりとくる重さだ。
ホーム画面も見てみた。アイコンの並びがAppleのこだわり故か、4×5を維持。そのため、どうにもアイコンとアイコンの間が、大分スカスカしていて寂しい印象。
まず、持ち運ぶのは無理
iPad mini4はモバイル用途に特化していて、298gと手に持って使うのに最適な軽さだ。
また、iPad Air2も437gで、その差約140gとなる。この重さはちょうどiPad mini4にスマートカバーをつけた状態と同じ。そこへ来て、今回登場したiPad Proの重さは713gとなり、おおよそiPad mini4とiPad Air2を重ねて使っているほどの重さとなる。
すると何が起きるだろうか。
確実に言えることは、「気軽に外へ持ち運ぶことはしなくなる」。
“自宅でも会社でも気軽に大画面でサクサク動いて便利そうだ!”
そう期待を胸に膨らませている方には酷な話だ。
もしどうしても重さについて実感ができない場合は、近くのスーパーに行って、350ml缶2本を片手に乗せて、2〜3分持ち続けてみて欲しい。
周りのお客さんから冷たい目を浴びるかもしれない。
だけど、それ以上に考えることもでてくるかもしれないはずだ。
【日経コンピュータ「iPad Proは使い方に要注意のタブレットだ」より】
「恐らくiPad Proも同様に使えるだろう」と、勝手に思い込んでいたのだが、手にしてみるとまったく違うことが分かった。そもそも、723グラムという重さは、かなりのヘビー級で、これを手に持ち続けて使うのは厳しい。しかも、本体が大きいだけに、どこか端の方を持つとより重く感じてしまう。444グラムのiPad Air 2が快適に使えているだけに、そのままの使い方で大画面が利用したかったのだが、予想外だった。
iPad Proは、手に持って使うデバイスではない。テーブルや机に置くか、ソファーなどで使うとしても膝の上などに立てかけて使うべきだ。新幹線や飛行機の中で使うときには、ちょっと大きすぎて邪魔に感じることもあろう。手で支えて新聞などを読み続けていると、時間の経過と共に辛くなってくるはずだ。
ノートパソコンの代わりにはならない
一見、公式サイトでは「新しい体験」ができる端末としてこのiPad Proをプッシュしているが、「新しい体験」=「ノートパソコンのように使い倒せる」という意味ではないことに注意したい。
iOS9にてマルチタスキング機能が実装されたことにより、iPad Proの画面上でメールを見ながらウェブ閲覧といった「複数の動作を1つの画面で処理できる」という面ではノートパソコンに近づいたと言っても過言ではない。反面、マウスによる操作はできず、設定のカスタマイズや対応アプリケーションはAppleが公認したもの以外は原則使えない(脱獄すれば別だろうが、サポートなどは受けれなくなる)。
最近ではiPad用のOfficeが基本機能無料で使用できるようになったため、以前よりもだいぶマシにはなったが、ワード・エクセル・パワーポイントのみで、アクセスなどはやはりWindows製のパソコンでないと厳しいものがある。
Windows製のタブレットは、「好きなように設定をいじり、好きなように使い倒せる」ことを主眼に作られている印象。反面、Apple製のタブレットは、「決められた枠組みの中でできる範囲で工夫を凝らしていく」という印象。
「出先からの急な依頼で止む無くiPad ProのOfficeアプリで閲覧、返信」という用途以上に、各ソフトをガッツリ使い込んでデータファイルをつくり込むには、ハード面よりもソフト面(Officeアプリ)で無理がある。
それなら同価格帯の小型軽量ノートパソコンを1台購入した方が早い。
【GIZMODE「iPad Pro、ラップトップとしてレビュー。代わりになれる?」より】
たとえば、僕は仕事の95%をブラウザ経由でしていますが、ネット関係で仕事している人の多くは同じだと思います。それで僕はすぐ気付きました、iPad Proでは、Safariのタブをふたつ同時に開いておけないんです。だからWebページをふたつ同時に並べたいときは、ChromeとSafariを画面分割して使う必要がありました。それから、画像をデスクトップからブラウザにドラッグアンドドロップもできないし、キーボードからSonosのスピーカーをコントロールもできません。
iPad Proを従来のラップトップの代わりにしようとすると、障害の多くはiOS 9にあります。iPad Proを仕事で本当に使えるようにするには、細かい調整がかなり必要そうです。
それから、今回テスト中に使っていた純正のSmart Keyboardは170ドル(日本向け価格1万9,800円)もして、僕の中ではチープとは言えません。でもサードパーティのBluetoothキーボードも使えます。
※代替になるのは、Macbook AirかMacbookあたりだと思う。
良くも悪くもiOS、活躍はアプリ次第
上にも書いたように、「良くも悪くもiOS、WindowsやMacOSほどの自由度はない」というのが結論。
自宅又はオフィス用の据え置き型として割り切って購入する分にはかなりいい買い物だと思う。フルモデルチェンジではなく、サイズを大きくした他シリーズのマイナーチェンジモデルとなるが、その内容は必要十分以上に盛り込まれている。
ただ、「希望する用途に合うアプリに出会えるかどうか」にかかっていると言っても過言ではないため、その点にだけは十分注意したい。
用途次第で他のノートパソコンを
“自由度は無くても良いから、大画面で色々と操作したり閲覧したりしてみたい!!”
そんな方にはとても最適な端末だと思える。
一方で、DTM・Photoshop・Illustrator・動画編集といった重い作業を同時進行でサクサクやりたいと考える方にとって、iPad Proはオールインワン端末とはなり得ない。
「持ち運ぶことはなく、オールインワンでなく、重い作業もやらず、Officeの用途も必要十分で、カスタマイズも一切しない!」
そう割り切りことができて初めて購入を検討する段階に候補としてあげることができるだろうが、上のいずれかの点に疑問を持たれた場合には一旦購入を踏みとどまった方が良い。
その場合は明らかに他のWindows製ノートパソコンかMacbook Air/Pro/無印の方が用途に叶うはず。
新しい製品には心が躍り、どうしても色んな用途を考えて購入に踏み切ろうとしてしまうけど、一旦踏みとどまって、「一体この端末を購入して、自分は何をしたいのだろう」と考えてからの再検討をした方が良い買い物ができるはずだ。
特にすでにiPadやiPad miniを持っている場合には、正直言ってまだ買い時ではないように思える。
もう少し市場の反応を注視してからでも問題はなさそうだ。